Wakanaが語る、“歌い続ける”強い意志 『magic moment』を通して聞くソロシンガーとしての現在

Wakana、ソロシンガーとしての現在

「過去を思い出すことはいつでもできるけど、みんなこの1秒先をずっと生きている」


ーーグループからソロへということで言うと、幻想的な世界観で呼吸する「breathing」のあと、思春期の甘酸っぱさを感じる「揺れる春」では〈自分らしさが生まれていく〉と歌っていて、続く4つ打ちのアンセム「where」でも〈本当の自分の姿〉というフレーズがあります。

Wakana:本当ですね。曲順をあとから決めてるのですごく不思議でした、つながってるなと思って。「where」は、自分の立ち位置というか、自分自身はどこにいて何をしたいのか、わからなくなる時があったり、誰かと出会うことも面倒になってしまうような時もあるけど、変わっていく日々を恐れちゃいけないんだなって歌っていて。巡り合う瞬間はいつもあって、その先で光り続けるんだよっていうことですね。でも、どこか不思議な曲で、特定の時間も場所もないような雰囲気なんですね。その中で「本当の自分の姿」というのが出てきて。

ーーしかも、その言葉が、アルバムの中でももっと新たな一面に挑戦した曲の中で出てきてるんですよね。みんなでシンガロングしたくなるような曲になってます。

Wakana:そう。とにかく楽しくなれる、ライブで盛り上がる曲が欲しかったんです。でも、「where」はイエーイ! みたいな曲じゃなくて。最初は静かに力強く入っていて。シンガロングのところはみんなで歌えて一体感もあるし、すごく楽しくて気に入ってますけど、スッとクールに低音域で歌うのが私は癖になって。こういう曲にも挑戦していきたいといました。盛り上がるようなメロディなのに、声はトーンを落としてる感じが気に入っていて、この曲はこれからのライブにも必要な曲だと思いました。

ーー後半にも〈本当の声〉とか〈自分らしく〉という言葉が出てきますよね。特に壮大なバラード「myself」では、別れから本当の自分に気付いています。

Wakana:「myself」はアルバムの選曲をする時に、ディレクターさんやスタッフさんの中で断トツ人気の曲だったんです。この曲の持ってる力はすごいという話になって。逆に、曲が持っている力がすごいからどう歌ったらいいのかなって少し悩んでいたんですけど、こういう曲を歌うことで自分をさらけ出したほうがいいなって思ったし、否が応でもさらけ出してしまうので、恐れずにやってみようと思って。この楽曲を作詞・作曲してくださったAlbatoLuceさんは「〈あなた〉は愛する人、もしくはかつて愛した人というイメージ。でも受け取り方は色々あると思います。」とおっしゃっていて。私はこの〈あなた〉を自分自身と捉えて、私は私と生きてきたんだなっていうことを感じたんです。〈偽る姿が悲しくて〉っていうのは自分自身のことだなって。たまに自分に対して「今ちょっと嘘ついてるな」とか、「こんな自分は嫌だな」って思うこともあるじゃないですか。そういうところもこの曲には含まれていて、傷つく自分をちゃんと慰めてあげて、あまりいじめないであげてっていう気持ちを歌いました。この前、友達とご飯を食べていた時にその子が「去年は自分をいじめすぎた」って言ってたんです。でも、それって本当に頑張っているってことですよね。みんながそうやって生きてるから、どこかでちょっと自分に対して優しくしてあげないとつらいだろうなって思いました。

ーー本当の自分を愛するっていうことですよね。

Wakana:そうですね。この曲と通じるのが、「オレンジ」で。この曲も実は〈あなた〉は私のことを歌ってるんですね。EPにも収録した曲なんですけど、毎日自分の顔を鏡で見るけど、その鏡に映った自分が笑顔じゃないと悲しいなってふと思ったんです。だから、最後に〈あなたの笑顔に会いたいから/世界が変わり始める朝に〉って歌っていて。朝ってすべてを1回リセットしてくれるような気がするので、昨日の涙も明日の不安も今日は笑顔に変えようっていう気持ちを歌っています。

ーー本当の自分、自分らしさは見つかりました?

Wakana:「揺れる春」を書いている時にも「これが自分らしさなのかも」と思ったことがあったので、歌詞の中にはっきりと〈自分らしさが生まれていく必ず〉というフレーズを入れたんです。

ーーそう思ったきっかけはありますか?

Wakana:一昨年の夏に初めて「時を越える夜に」で歌詞を書かせていただいた後、武部聡志さんと曲作りをさせてもらった際に、「歌詞は自分のもっと深いところにある思いを書くべきだよ」っていう話をしていただいて。その後すぐに、初めてのソロライブで発表した「君だけのステージ」を書いたんですけど、その曲では、みんな自分だけのステージで生きてるってことを歌ってるんですね。常に主演は自分で、自分が見てるものがすべてで、私以外の人は私にとっては他人で、その人にとって私は他人であり、私が脇役で生きている。そのことが、本当に考えれば考えるほど不思議なことだなって思ってて。そう思った時に、四角い住処を作って、天井を作っているのは自分なんだと。「自分はここまでしかできない」と思うことをやめようと思って。空はどこまでも青くて、どこまでも広いんだから、自分で自分の限界を決めちゃいけないんだって思ったんです。それがソロとしてやっていこうって決めた時だったので、こういう歌詞になりました。まだその時は自分らしさがわかってなかったんだと思います。

 それで、今回の「揺れる春」で生まれました、わかりました。自分らしさっていうのはいつだってちょっと上にあるんです。自分らしさの上に自分がいるんですね。でも、そこは「こうであったらいいな」っていう自分で、現実はもう少し下なんですね。

ーー理想の自分の少し下に本当の自分がいる、と。

Wakana:そうです。上を見てしまいがちなんだけど実際は少し下の位置にいるから、いつも理想と比べてへこんでしまったりするんですよね。どうしてこうなんだろう、なんでできないんだろうって。でも、その少しの差っていうのは当たり前なのかなと。今こうして生きている中で、みんな先を見て生きている。過去を生きてる人はいないし、過去を思い出すことはいつでもできるけど、みんなこの1秒先をずっと生きているわけじゃないですか。だから、自分が求めている自分はもう少し上にいるんだと思うことで楽になれるというか、納得ができて。さらに、どうしたらいいのかなと考えることが今は大事なんだと思えたし、10年間Kalafinaをやってきたことがすごく必要で大切だったから、そこが私にとって自分らしさなんだって思いました。そこの影響があって私なんだと思ったので、いろんなことを悩んだりもしたけど、気にしなくていいんだなって思うようにしました。少し上にある自分の理想を大事にしようと思っているし、でも、本当の自分もちゃんと見ていきたいです。

ーー過去の自分もちゃんと愛して受け止めつつ、しっかりと現在、“moment”に足を下ろしながら、ちゃんと前を見てる進んでる姿勢が伝わってきています。

Wakana:ありがとうございます。過去の思い出を振り返る時って、動画より静止画だから、その瞬間瞬間をつなぎ合わせて、アニメの1コマのように人は生きてるんだなって思って。その流れるひとつひとつをちゃんとつなぎ留めて、自分の中に残していこうって。それが自分らしさだし、受け入れて前に進んでいきたいですね。

ーーWakanaさんが進む先の未来はどんなものを想像していますか。

Wakana:歌い続けることはもちろんですけど、私、遠い未来を思い描くのが性に合わなくて。いわゆる10年計画とかもできないんです(笑)。でも、具体的にそうやって自分のことを見つめることができる人のほうが強いと思うんですよ。だから、私も具体的に自分のことをもっともっとソロ活動の中で見つけられるようになれば、自分がこうなっていなきゃいけないっていうのに気づいてくるのかな、とは思っています。でも、出会いとかその時の流れっていうのはすごく大事にしているので、決めつけないようにしました、最近は。「これはできないからやらない」とかっていうんじゃなくて、「できるだけできるようにしたい」とは思ってます。

ーー(笑)。「できるだけできるようにしたい」という言い回しがWakanaさんらしいですね。そして、3月14日には本作を提げたワンマンライブも控えています。

Wakana:一昨年からソロ活動を始めたWakanaが今2ndアルバムを出して、今、こういう気持ちでいますっていうところはもちろん、このアルバムをマスタリングした時に、もう一度初心に戻ろうと思って。……初心に戻るのはちょっと早いかもしれないけど、私自身がいろいろやりたいと駆け抜けてきたんです。いろんなことに挑戦したいし、いろんな曲を増やしたいし、こういう声も欲しいとか、こういうところも伸ばしたいとか。そういう感じだったけど、それをアルバムに込めたその先は、やっぱりみんなが好いてくれる自分の声をもう一度大切にしようと思っているので、この2ndアルバムを出せたことでもう1つ階段を上れた気がしますね。

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■リリース情報
2ndアルバム『magic moment』
発売:2020年2月26日(水)
収録曲: ※初回限定盤A/初回限定盤B/通常盤 共通
1. breathing 作詞:Wakana 作曲・編曲:夢見クジラ
2. 揺れる春  作詞:Wakana 作曲・編曲:櫻井美希
3. where  作詞・作曲:AlbatoLuce 編曲:高橋亮人
4. 442  作詞:Wakana、岡本愛梨 作曲・編曲:池窪浩一
5. ひらり ひらり 作詞・作曲:サイレンジ! 編曲:久下真音
6. アキノサクラ(Acoustic ver.) 作詞:斉藤 慶、平 義隆 作曲:斉藤 慶 編曲:内田敏夫
7. myself 作詞・作曲:AlbatoLuce 編曲:伊勢佳史
8. 君だけのステージ 作詞:Wakana 作曲・編曲:武部聡志
9. オレンジ 作詞:Wakana 作曲:岩越涼大 編曲:藤本和則
10. Happy Hello Day 作詞:Wakana 作曲:春日章宏 編曲:兼松 衆
11. magic moment 作詞:Wakana 作曲:SIRA 編曲:兼松 衆

商品仕様:
<初回限定盤A>(2CD、VIZL-1730)
価格:4,000円(税抜)
LIVE CD:「Wakana Winter Special Live 2019 ~瞬き~ at マイナビBLITZ赤坂」
1. breathing、2. オレンジ、3. 僕の心の時計、4. 金木犀、5. 夕焼け、6. 翼、7. 君だけのステージ、8. 恋はいつも、9. 約束の夜明け、10. アキノサクラ、11. あとひとつ 全11曲収録

<初回限定盤B>(VIZL-1731)
価格:4,800円(税抜)
・LPサイズジャケット仕様
・LPサイズフォトブックレット封入
・ポスター(B2変型サイズ)封入
・ボーナスディスク(全曲インストゥルメンタル収録)付き2枚組
・高品質SHM-CD仕様

<通常盤>(VICL-65328)
価格:3,000円(税抜)

■配信情報
2月26日(水)より、ストリーミングサービスおよびiTunes Store、レコチョク、moraなど主要ダウンロードサービスにて配信スタート
※対応ストリーミングサービス:Apple Music、LINE MUSIC、Amazon Music Unlimited、AWA、KKBOX、Rakuten Music、RecMusic、Spotify、YouTube Music

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