関ジャニ∞『友よ』、なぜロングヒット? 新たな決意と本気の熱量が滲み出る楽曲から考察
関ジャニ∞の43枚目シングル『友よ』が、2019年11月の発売よりじわじわと売上を伸ばし続け、2月24日付けオリコン週間シングルランキングで12位にランクイン。累積売上枚数は32.9万枚に。自主レーベル<INFINITY RECORDS>を2014年8月に立ち上げて以来、最大のヒット作品となった。なぜ、これほどのロングヒットに至ったのか。
新生・関ジャニ∞とリンクする「友よ」
ご存知の通り、関ジャニ∞は長年活動を共にしてきた渋谷すばるが2018年に、そして錦戸亮が2019年にグループから離れ、5人体制となった。7人体制時には、渋谷と錦戸がボーカル&ギターを担当し、メインボーカルを務める場面も多かった分、新体制になるにあたって関ジャニ∞の音楽が変わってしまうのではないかという不安が漂ったのは否めない。『友よ』は、そんな手探りの新体制第1弾のシングルだ。
〈なぁ友よ 人生って最高だろう? だからやめられないんだろう〉
この安田章大の力強い歌い出しに、きっと多くのファンが胸を打たれたはずだ。個人的にもラジオ初オンエアで聞いた時、“関ジャニ∞は、こうでなくちゃ“と嬉しくなったのを覚えている。きっと、公には語られなかった迷いや葛藤もあったはず。それでも彼らは立ち上がって、くしゃっと笑うのだ。悲しむより、おちゃらけてみせる。通常盤のジャケット裏には、5人がスタンドマイクを握る楽しそうな姿も確認できた。歌うのだ、新たな道を選び、歩き始めた仲間の分まで。そんな新たな決意と本気の熱量が、音楽から滲み出る。
「友よ」は、「Water Drop」や「あおっぱな」「ココロ空モヨウ」「キング オブ 男!」、そして今回『友よ』が抜いた累積売上枚数トップの「前向きスクリーム!」(2015年8月リリース「十五催ハッピープライス盤」との合算)など、これまで数々の名曲を関ジャニ∞に提供してきた、サウンドクリエイターのGAKUが作詞・作曲を担当している。
かつて、GAKUは公式Twitter(@gaku0822)で「関ジャニ∞ツアー初日。 全ての人の力が融合した時にしか見られないステキ空間がそこにはありました。 あんな男を感じる演出があるとは‼︎ そして自分の作品がそのステージに貢献できている事がまた“音楽をやっていてよかった“と思わせてくれる。 最高ぢゃ‼︎」とツイートしていた。長きに渡って彼らと共に音楽を紡いできたGAKUだからこそ、まるで彼らの本音を聞いているような感覚になるほど、今の関ジャニ∞にリンクした「友よ」を創り出すことができたに違いない。
「友」と呼びたくなるアイドル・関ジャニ∞
関ジャニ∞が他のアイドルグループと一線を画す魅力といえば、泥くさくて、人間味にあふれるところだ。「決して手の届かないキラキラな王子様」はなく、「アイドルをやっている友だち」とでも言いたくなるような親近感を抱かせるからこそ、女性のみならず男性ファンも多いのだろう。
彼らを「友」と呼びたくなるのは、私たちファンだけではないはずだ。大倉忠義と共にレギュラーラジオ『大倉くんと高橋くん』(ニッポン放送)のパーソナリティを務める、シンガーソングライターの高橋優をはじめ、『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)でコラボした数々のアーティストも、きっと楽曲提供をしたクリエイターも……。
そして誰よりも彼ら自身が幼なじみのような関係性を築いている。『関ジャニ∞クロニクル』(フジテレビ系)では、定期的に横山裕がメンバーによる「思わず嫉妬した大賞」を開催しているのも象徴的だ。村上信五の歯に衣着せぬトークに「羨ましい」と言ってみたり、丸山隆平が雑に絡んできたときには「丸のそういうところ嫌いやわ」とツッコんだりと、劣等感も叱咤も笑いに変えることができるのは、そこに遠慮のない関係性があればこそ。「友よ」は、そんな友情に囲まれた彼らだからこそ響くのかもしれない。
今、私たちはたくさんの人とつながるツールを持っているが、彼らのように正面からぶつかり、笑える「友」がどれほどいるだろうか。恩や情は古き良き時代の遺産かのように言われるが、私たちはどこかで憧れ続ける。関ジャニ∞のように、友情に恵まれた人生を。だから、彼らが歌う〈古き時代はとうに過ぎ 新たな歴史の幕開けと右往左往 めまぐるしい流れの中どっかに 心おいていかぬようまた意地になる〉や〈たかだか一画面くらいの文字数で 人を簡単に定義するなバカヤロー〉にグッときてしまう。夢を見て、人を信じて、例えうまくいかなくても、外野がなんと言おうと、惜しみない愛を注いでいく。そんなヤツこそ、カッコいいんじゃないのか、なぁ友よ……と、肩を並べて1杯やってるような気持ちになる。