「LDH PERFECT YEAR」インタビュー
EXILE HIROに聞く、「LDH PERFECT YEAR 2020」と「Love, Dream, Happiness」の真意
次の「PERFECT YEAR」までには、僕がいなくても大丈夫なLDHに
ーー日本のエンタテインメント業界にとって、2020年はどのような年になると見ていますか。
HIRO:日本が世界から注目される年なので、エンタメ業界にとっても大きなチャンスだと捉えています。自分たちにできることは、しっかりやっていきたいです。もともとLDHは2017年からそれまでの海外展開を整理してLDH USA、LDH ASIA、LDH EUROPEを作り、各支社で様々なチャレンジをしてきました。実際に色々な施策を行って、自分たちの強みだったり、逆に足りない部分を学べたので、その経験を活かしていきたいとは思います。ただ、あまり気張るのではなく、今まで通りのペースで地に足の着いた活動を続けていければ、自ずと良い形で色々なことが実現していくのかなと。日本のエンタテインメントは、これまで国内だけで成立するほど成熟した市場がありますが、だからこそ輸出するのが難しい面もありました。今後は少子化で市場が縮小していくのは間違いなく、そうなるとスケールの大きなエンタテインメントが日本市場だけでは生み出せなくなる可能性もあるので、遅かれ早かれ新たに海外市場を開拓していく必要があるとは思います。それは直接海外で活動するという発想だけではなく、日本にいてもまだまだ取り組むべきこともありますし、市場の広げ方も時代を意識して本末転倒にならないように効率よく行動していきたいと思います。もちろん、これまで支えてくれたファンの方々に楽しんでもらうことが基本にあるので、その期待にはしっかりと応えつつ、より広い視野で新しいエンタテインメントを創造していきたいです。
ーー日本発のエンタテインメントだと、やはりアニメが先んじて世界に受け入れられている印象です。
HIRO:Jr.EXILE世代による『BATTLE OF TOKYO』のプロジェクトは、まさにCGやアニメと生のパフォーマンスを融合するコンテンツにしていきたいと考えています。アニメやゲームなどのエンタテインメントに関しては、LDHではm-floの☆TAKU君が早くから大きな可能性を見出していて、ロサンゼルスの『Anime Expo』というアニメコンペディションで『OTAQUEST LIVE』というイベントを開催するなどしています。生身の人間が歌やダンスで夢を叶えていく姿を見せるという、これまでのLDHのエンタテインメントを中心に置きつつその軸を太く強くしていくのはもちろん、最新のテクノロジーを駆使して新しいものを生み出し、LDHの新しいエンタテインメントの軸として創造することも現在の課題の一つで。また、その延長線上にもマーケットの拡大があると見ています。
ーー新しい試みでいうと、TETSUYAさんが学長になる「EXPG高等学院」の開校も4月に控えています。
HIRO:ダンスを通じて教育や社会貢献に携わるという試みは、ÜSAやTETSUYAがずっと力を入れてきたことで、それが一つの成果として形になったのが「EXPG高等学院」だと思います。僕らにとってEXPG STUDIOはとても大切な場所で、そこからGENERATIONSをはじめとした次世代のアーティストが次々と生まれています。今回、学校法人角川ドワンゴ学園N高等学校との提携で、高校卒業の資格が取れる「EXPG高等学院」が開校することで、さらに本格的に教育に携わることができるようになりますので、大きな喜びとともに責任も感じています。ようやくスタートラインに立てたというところですが、いずれは表現者の育成だけではなくエンタテインメント・ビジネスの全てが学べる学校にしていきたいですし、卒業生たちがエンタテインメント業界の表と裏、表現者とスタッフとして両面で次の時代のLDHを創り上げていくような仕組みが作れたらとても嬉しいです。
ーーEXPG STUDIOの生徒の皆さんを見ていると、一生懸命に働いている大人の姿を近くで見ることは、教育の上でもすごく良いことなのだと感じます。
HIRO:EXPG STUDIOの生徒は、普段から憧れの人を近くに感じていて、自分も夢を叶えたいと思っているからこそ、自然と良い生徒になろうとするのでしょうね。あまりの礼儀正しさに、僕が驚くこともあります(笑)。
ーー改めて、LDHがテーマとして掲げている「Love, Dream, Happiness」についても教えてください。この3つは人間、誰しもが求めるものですが、その解釈は多様です。
HIRO:僕たちは綺麗事ではなく、リアルな「Love, Dream, Happiness」とは何かを常に問うようにしています。基本的に、その人の等身大の愛や夢や幸せを追求して、一生懸命に頑張っていけば良いと思うのですが、どれも実現するにはパワーが必要だし、そのためにはビジネスにおいてもある程度は成功しなければいけないし、テーマとして掲げる以上、説得力のある自分にならなければいけません。そういう意味で「Love, Dream, Happiness」は、いつだって自分たちに何かを気付かせてくれるワードであり、全世界で通じる究極の理念だとも思います。10代にとっての「Love, Dream, Happiness」と40代にとっての「Love, Dream, Happiness」は違うかもしれないけれど、それぞれが心の中にそのテーマを掲げていることが、LDHの強さになっているのは間違いないはずです。それに「PERFECT YEAR」というネーミングもそうですけれど、こういうストレートな言葉は真面目に言ったもの勝ちというか、恥ずかしがらずに真剣に取り組んでいけば「やっぱりそうだよな」というところに行き着くんです。僕たちは本当に小さな事務所からスタートしたので、色々な人に知ってもらうために、ストレートでわかりやすい表現を心がけてきました。また、そのようなことの繰り返しでイメージやLDHブランドを確立してきたので世間のイメージが固定してしまった部分もあると思いますが、2020年以降はそのイメージを良い意味で覆して「LDHって本当はこういう企業だったんだ」とLDHの本質を沢山の人達に感じてもらえるように頑張っていきたいです。
ーー最後にHIROさん自身の今の夢も聞かせてください。
HIRO:正直なところ、今は個人的な夢というよりメンバー一人ひとりの表現者としてのブランド価値を高めて、さらなる夢を叶えてもらうこと。そして、上の世代のメンバーのセカンドキャリアや新しい夢が叶うように準備すること。それに尽きると思いますし、その想いが自分自身の今の仕事に対しての原動力になっています。綺麗事ではなく、どうやって夢を叶え続けてしっかりと食べていけるのか、改めて夢を現実的に見極めていきたいです。今をしっかりと務めることで、未来のLDHのあり方が見えてくると思いますし、そんな強い組織を作れたら僕個人としては、一度僕のキャリアをセーブしてリセット。0から今までの知識や知恵で自分のエンタテインメントの表現を追求してみたいという夢はあります(笑)。最近、若い頃に好きだった映画を改めて観ることにハマっていて、昨年末に『ゴッドファーザー』を観たんですけれど、昔観たときの感覚とは全然違って、若い時とは全く違う感覚でめちゃくちゃ感銘を受けたんです。将来的にはああいう濃密な作品を手がけてみたいという欲求は、やっぱりあります。ないものねだりだと思うんですけれど、LDHのことをずっと考えて突っ走ってきて、こうして50歳になってみると、やり残したことも色々とあるなと。次の「PERFECT YEAR」までには、僕がいなくても大丈夫なLDHにしたいです(笑)。