『Opportunity』インタビュー
DracoVirgoが語る、HIGH and MIGHTY COLOR再集結で生まれた最新の琉球メタル「念願の“1stベストアルバム”ができた」
HIGH and MIGHTY COLOR(以下、ハイカラ)の結成メンバーとしても知られるMAAKIII、mACKAz、SASSYの3人で結成され、人気アプリゲーム『Fate/Grand Order』の「亜種特異点Ⅳ 禁忌降臨庭園 セイレム 異端なるセイレム」のテーマソングとなった毛蟹 feat. DracoVirgo「清廉なるHeretics」でも知られる3人組、DracoVirgo。彼らが2枚組の1stアルバム『Opportunity』を完成させた。
この作品には、ディスク1にオリジナル曲を、ディスク2にMAAKIIIのソロ作『兎に角、ジェネシス!!!!!』のDracoVirgoバージョンを収録。結成から現時点までの全楽曲が楽しめるものになっている。アルバムの制作過程と、これまでの歩みについて、3人に聞いた。(杉山仁)
すごくタイムリーなアルバムになった
ーー『Opportunity』は、DracoVirgoの1stアルバムであると同時に、これまでのベストアルバムにもなっているような雰囲気ですね。アルバムをつくるということは、どれぐらいから考えていたことだったんですか?
SASSY:僕らとしては「アルバムをつくろう」ということはずっと意識していなくて、DracoVirgoができることをひとつずつ積み上げていこう、という気持ちだったんですよ。その結果曲がたまって、「これならアルバムが出せるね」という話になったのが、今回のアルバムをつくるきっかけでした。
MAAKIII:そこからアルバム用の新曲の制作に取り掛かっていきました。これまで出してきた曲も、今の自分たちのフレッシュな曲も詰め込めたので、すごくタイムリーなアルバムになったんじゃないかと思います。
ーーそもそも、2枚組でこれまでの楽曲を全部収録しようというアイデアは、どんなふうに出てきたものだったんですか?
mACKAz:僕らはこれまでそのときどきに自分たちがかっこいいと思えるものをつくってきて、そうしたら気づけば2年ほど経っていて。普通はあまりやらないことかもしれないですけど、今回のアルバムにはシングルのカップリング曲も、MAAKIIIのソロ作『兎に角、ジェネシス!!!!!』のDracoVirgoバージョンも入っていて。今までやってきたものを「全部を詰めこんだな!」という感覚ですね。
ーー収録曲が多いので、既発曲と新曲とで話を分けて聞かせてもらいたいんですが、まずはすでにリリースしてきた楽曲の中で、みなさんがそれぞれ思い出深いものというと?
mACKAz:僕は「KAIBUTSU」ですね。この曲はDracoVirgoとしての最初の曲であり、ライブでも一番演奏している曲で。最近、この曲をライブでやっていると、すごくエモい瞬間になることが多いんですよ。そういうゾクッとするような瞬間は、曲が育ってきているのかな、と感じます。
SASSY:9月のワンマンライブの時にも感じたのですが、演奏中に3人の意識が1ミリもずれずにハマるような感覚がある曲です。
MAAKIII:私は1曲選ぶとしたら……「超感覚的知覚 - DracoVirgo MICROCOSM mix -」ですね。「超感覚的知覚」はMAAKIIIとして初めて制作した曲で、その初期衝動が詰まっているので思い入れもありますし、そこに2人が加わってくれたときも化学反応をすごく感じました。MAAKIII、SASSY、mACKAzという3人が集まって新しい音楽をつくろうと思っていたDracoVirgo自体に、自分がもともとソロで歌っていた曲を通しても自信が持てたというか。「こういう曲も3人でやれるんだ。この3人でいける!」と感じたし、ライブでもすごく起爆剤になってくれている曲ですね。
SASSY:それこそ、この曲はDracoVirgoで最初に3人でスタジオに入ったときにもやったんですけど、その時点で初めて合わせた感じがしなくて、すごくしっくりきた曲でした。
MAAKIII:これはディスク2に入っている『兎に角、ジェネシス!!!!!』のリミックス曲すべてに言えることですけど、DracoVirgoバージョンをつくっている間に、同時進行でオリジナルの新しい曲もできていって。その2つが相乗効果を生んで、DracoVirgoらしさが生まれるところを見られたので、自分たちにとってすごくいいきっかけになりました。
ーーSASSYさんはどうですか?
SASSY:僕は「ABRACADABRA」ですね。それまでのDracoVirgoの曲はメロウで世界観の強いものが多かったですけど、この曲は、その雰囲気もありつつ、同時に「よりシンプルでキャッチーな曲もやりたい」と思ってつくった曲で。ギターも聞こえてくるし、ハイカラのボーカルだったユウスケが参加してくれたことで、ハイカラの世界観に近い雰囲気になっていますよね。でも、この曲をつくるまでは「3人だからできる新しいこと」にこだわって、その色を出さないようにしていたんです。そこからいい意味で、「何でもありだな」と思えたのがこの曲でした。あとは、「やっぱりMAAKIIIってやべえな」と思った曲でもあって。
MAAKIII:(興味ありげに耳に手を当てながら)どこら辺が??
SASSY:この曲は、最初にあったものから、MAAKIIIがまったく予想もしない場所に着地させてくれて、しかもそれが素晴らしいものになった感覚がありました。「MAAKIIIが乗せてくれたメロディのためにこの曲があったんじゃないか」と思えるような感覚でした。
ーーMAAKIIIさんは想像力をつかってテーマを飛躍させていく能力に長けた人ですよね。
MAAKIII:飛躍していきたいですね……。曲づくりだけじゃなくて、バンドとしても飛躍していきたい……!(笑)。DracoVirgoでの楽曲制作は、私が見たことのないようなお皿を2人が持ってきてくれて、そこに私が料理を乗せていくような感覚で進むんですけど、たとえば私が普段料理をつくっているときは、つくったことで食べる前に満足してしまうんですね。でも、DracoVirgoの音楽は、みんなでつくって、それを食べるのもすごく楽しみな感覚があって。それはやっぱり、もともと2人が私には絶対に生み出せないプレートを焼いて、出してくれるからなんだと思います。
ーーでは、続いて新曲について1曲ずつ聞かせてください。1曲目の「Rainbow Butterfly」は、幻想的な序盤を経て、徐々にドラムンベースになっていく作品のオープニング的な楽曲ですね。
mACKAz:この曲は、去年の9月のワンマンライブ(『DracoVirgo “Opportunity 2019~Rainbow Butterfly~”』)のときに「SEがほしいね」という話になってつくった曲ですね。
MAAKIII:この曲から「“KALMA”」に繋がるのも、そのライブと同じ流れになっています。
mACKAz:この曲は僕がひとりで打ち込みでつくったんですけど、先にライブのタイトルが決まっていたので、月夜に森で蝶々が羽ばたいている様子を想像していきました。(DracoVirgo仕様のピックを出しながら)このピックも、それと同じデザインなんですよ。そのイメージで曲を持っていきましたね。
MAAKIII:最初に聴いた時点で「完璧!」という感じだったので、mACKAzがつくってくれたものがほぼそのまま使われていて。実は歌っているのもmACKAzなんですよ。
ーーそうなんですか?!
MAAKIII:普通、私だと思いますよね?(笑)。
mACKAz:声を加工してはいますけど、僕が家で録りました(笑)。デモのつもりで持っていったら、それがそのまま採用されたんですよ。
MAAKIII:なので、実は今回のアルバムの世界観に誘っているのはmACKAzなんです(笑)。
ーーそれもDracoVirgoらしいのかもしれませんね。役割分担を決めすぎないと言いますか。
MAAKIII:そうですね。もちろん楽曲に対しては納得するまで突き詰めるタイプではあるんですけど、結果的にいいものになるなら、どんな方法でもいいと思っているんです。
SASSY:そして正解が見つかれば、悩まずに「これでいこう」と決まることが多いですね。