くじら「ねむるまち」Spotifyバイラルチャート急上昇 新世代ボカロPの詞曲に共通する“諦念”のムード
参考:https://spotifycharts.com/viral/jp/weekly/latest
Spotifyの「バイラルトップ50(日本)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top 50チャート」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を基に作られたプレイリスト。同チャートを1週間分集計した数値の今週分(1月16日公開:1月9日~1月15日集計分)のTOP10は以下の通り。
1位:YOASOBI「夜に駆ける」
2位:森七菜「カエルノウタ」
3位:落合渉「君が隣にいることいつか当たり前になってさ」
4位:King Gnu「Teenager Forever」
5位:LiSA「紅蓮華」
6位:After The Rain「1・2・3」
7位:藤井 風「もうええわ」
8位:703号室「偽物勇者」
9位:くじら「ねむるまち」
10位:Vaundy「東京フラッシュ」
前週に引き続きYOASOBI「夜に駆ける」が1位をキープするなか、映画『ラストレター』効果もあり森七菜「カエルノウタ」が2位に急浮上。落合渉「君が隣にいることいつか当たり前になってさ」やTikTokの影響も考えられる703号室「偽物勇者」も気になるところだが、今回は9位のくじら「ねむるまち」にフォーカスを当てたい。
くじらは、2019年4月1日に「アルカホリック・ランデヴー」を動画サイトに初めて投稿し、活動をスタート。自身は元々「『みっくみくにしてやんよ』とか『メルト』の時代から最先端の『絶え間なく藍色』『トラフィック・ジャム』までずっとボカロを聴き続けている根っからのボカロオタク」だったそう(参考:pixivFANBOX)。
これまで投稿してきた楽曲は「アルカホリック・ランデヴー」「狂えない僕らは」「Dance in tha milk」「幽霊少女」「ねむるまち」「金木犀」の6曲。ストレートなボーカロイドロックの「幽霊少女」以外のいずれにも共通しているのは、ジャジーなコード進行とキャッチーなシンセリフが織りなすムーディーな“夜”らしさ。歌はボーカロイド(flower)にただ歌わせるだけでなく、ピッチアップさせたり、ボーカルシンセ的に使ってみたり、「金木犀」ではトークボックス的な役割を果たしたりと、楽曲にメロディ楽器として大きく作用しているし、その良い意味での不自然さが、未来であって過去のような、虚実ないまぜになる不思議な夜の景色を彷彿とさせる。
そして今回チャートインした「ねむるまち」は、上記に挙げた要素を全部盛りしつつ、flowerの歌唱バージョンとは別に、yamaをゲストボーカルに迎えたバージョンも配信中。YouTubeには後者のバージョンでOfficial Videoがアップされており、300万回再生を突破しており、そちらには恐らくLo-fi Hip Hop文脈で関連動画からたどり着いたであろう、海外のリスナーから多くのコメントが寄せられている。