Hey! Say! JUMP 中島裕翔、“自分探し”を描く表現力 『僕はどこから』出演を機に考察
本作で、中島が扮する薫も、認知症を患った母を介護しながら、アルバイトで生計を立てる苦悩に満ちた青年だ。小説を持ち込めば編集者から「キミってものがないのか」と叱咤され、バイト先でこびりついたガムを剥がそうとすれば「床が傷つくよ」と注意され、常にペコペコしっぱなし。せっかくの特殊能力も活かす術を考える余裕もなく、その日その日を必死に生き延びる日々。
「僕は、僕はどこから来るんですか……」絞り出すようにつぶやいた薫のセリフが、切なく響くのは、もしかしたら大きく傷ついたかつての中島とリンクしているからかもしれない。母親のケガをきっかけにさらに追い込まれる薫。今は小説に勤しむしかない、とできることに没頭していく姿も、鬼気迫るものがある。そんな薫のもとに、特殊能力を利用しようと元同級生の智美(間宮祥太朗)が訪れる。さらなる大きな運命のうねりに翻弄されていく、薫こと中島の表情が楽しみだ。
そして、本作を彩る主題歌「I am」もHey! Say! JUMPが歌う。4つ打ちのビートがまるで高鳴る心音のように迫りくる。力強いリズムと、Hey! Say! JUMPの軽やかな歌声の対比が際立って聴こえる。真っ当に、誠実に、潔白に歩みたいと願いながらも、黒い気持ちに支配されそうになるのが人生。迫りくる闇と、それを振り切るように光の指す方へと走り抜けていくしかない。演技で、歌で、“自分探し”を描く中島の表現力に期待が高まる。