ハルカミライが全身全霊で鳴らした”ホンモノ”のロック 自身最大キャパに挑んだ幕張メッセワンマンライブを見て
その後、メンバーが全員楽器を持ち替え「ファイト!!」をプレイするトリッキーでスペシャルなステージも。ライブの終盤には「宇宙飛行士」、「アストロビスタ」と繋がりのある2曲を続け、彼らの初期曲でありバンドを始めた街でもある八王子への思い出が詰まった「ヨーロービル、朝」で本編のラストを飾った。
アンコールでは橋本が弾き語りで「これさえあればいい」を披露。それでも会場はまだまだ終わりたくない様子で、1年前のワンマンライブでもリクエストされていた「みどり」をぶっつけ本番で演奏。異例のアンコール計7曲をやりきり、会場は再び大熱狂に包まれたままワンマンライブを終えた。
360度センターステージということもあり、立ち位置や見える角度の関係で、8888人が同じ景色を見ることの無い一夜限りのライブ。彼らの演奏はライブハウスの肌感覚そのままに、幕張メッセのど真ん中で大きな花を咲かせていた。橋本は「曲って作った時は自慢の曲でもなんでもなくて。でも、みんながめっちゃいいなって、笑ったり泣いたりしているのを見て、自慢の曲だなって思う」と話していた。作る人、聴く人、ライブへ来る人、歌う人、演奏する人。全てが揃うことで成り立つのがハルカミライというバンドなのだろう。「HRKMRI IS ALWAYS AT THE LIVE HOUSE」=「ハルカミライはいつもライブハウスに」。ハルカミライの全てはライブハウスから始まった。いくら大きな会場でライブができるようになっても、彼らがライブハウスを手放すことは無いだろう。その思いの表れだと筆者は感じ取る。ホンモノのロックバンドと、最高のオーディエンスが作り上げた素晴らしい日だった。
(文=石見優里佳/メイン写真=Masanori Fujikawa)