角銅真実&アグネス・オベル、シンガーソングライターとしての感性の鋭さ ショーケースライブを観た

角銅真実&アグネス・オベル、シンガーソングライターとしての感性の鋭さ ショーケースライブを観た

 2020年初めにユニバーサル クラシックス&ジャズから新作をリリースする2人の女性シンガーソングライター、アグネス・オベル、角銅真実が2019年11月26日、都内でショーケースライブを開催した。両者に共通しているのは、アカデミックな背景と独創的なアプローチ、高い技術に裏打ちされたパフォーマンス、そして、すべてのロジックを一瞬で置き去りにする感性の鋭さだ。

角銅真実

 最初に登場した角銅真実はまず、「Lark」を披露。アコースティックギターの凛とした美しさをたたえるようなギターの響き、繊細さと鋭さをあわせ持った声とともに〈朝は来るよ 真っ暗な海を越えて〉という言葉が聞こえてきた瞬間、フッと体が緩み、呼吸が深くなるような感覚に包まれる。中村大史(Gt/Banjo/Accordion)、秋田ゴールドマン(Ba/SOIL&“PIMP”SESSIONS)、巌裕美子(Cello)が織り成す音のレイヤーも素晴らしい。

 東京藝術大学で打楽器を学んだ後、自身のソロ活動に加えて、ceroのサポート、石若駿SONGBOOK PROJECTのメンバーとしても活躍。また、CM、映画、舞台、ダンス作品などの音楽を手掛けるほか、今年2月に初めて歌にフォーカスしたワンマンライブ『角銅真実SINGS』を開催。シンガーソングライターとしてのキャリアをスタートさせた。

 彼女が紡ぎ出す歌は、メロディ、歌詞、アンサンブル、音響を含め、音楽的な知性の高さと自由奔放な感性が自然に共存している。この日はメジャー1stアルバム『oar』から5曲(注:1曲は未発表曲です)を演奏したが、どの曲からも圧倒的なオリジナリティと(すべての聴き手を拒否しない)間口の広さが感じられた。

 その中心にあるのは、クラシカルな手触りとエキゾチックな香りが混ざり合うメロディ、詩的な表現で物事の本質を浮き彫りにする歌詞だろう(もっとも印象的だったのは、「December 13」。〈この声があなたに届く時 そこには私はいない〉というフレーズでした)。金延幸子、大貫妙子、湯川潮音、原田郁子、さや(テニスコーツ)、青葉市子といったシンガーソングライターの文脈も感じるが、音楽性、ボーカルのスタイルを含め、その佇まいは唯一無二。アルバム『oar』によって、その奥深い音楽世界は多くの音楽ファンに共有されることになりそうだ。

 ライブ後は、音楽ライターの小田島久恵氏によるインタビューも。「楽器を作るのも好きなのですが、そのうちに自分の体、声を使って演奏するようになった」「歌には受け取る自由があるところがおもしろい」「音楽を作ることは時間を扱うこと」など、彼女のクリエイティビティに関する興味深い話を聞くことができた。

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