荻原梓のチャート一刀両断!

関ジャニ∞、圧倒的な大差で首位に 『友よ』収録曲の歌詞から感じるグループの様々な側面

参考:2019年12月9日付週間シングルランキング(2019年11月25日~12月1日)

 最新のオリコンチャートによれば、関ジャニ∞の『友よ』が260,162枚を売り上げ、1位を獲得。続いてGuilty Kiss『New Romantic Sailors』が32,263枚で2位、B2takes!『証-Akashi-』が31,864枚で3位となり、関ジャニ∞が2位以下に圧倒的な大差で首位を記録した週となった。

 『友よ』は43枚目のシングル。錦戸亮が脱退した後の5人体制で初のシングルとなる。作詞作曲はGAKU、編曲は高慶"CO-K"卓史が担当。ドラマ『俺の話は長い』(日本テレビ系)の主題歌である。〈なぁ友よ〉からはじまり〈〜だったりするんだよ〉などとといったように、歌い手から聞き手へと語りかけるような楽曲に仕上がっている。そうした口調で綴られた歌詞を、いわゆる王道のロックサウンドをベースに、メンバーたちが声を荒げて叫ぶようにして歌い上げる。なので、”語りかける”タイプの歌ながらも、歌い手の存在感が強く主張される一曲だ。なかでも〈ダセぇ人間と笑われるのはいい〉という一文は秀逸である。

 以前、氷川きよしがインタビューで「プロデューサーから『馬鹿にされればされるほど、世間から顔と名前を覚えてもらえる』と言われた」(参照)と語っていたが、『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)で毎週ひな壇に座り、ゲストを立てるために聞き役に徹したり、たまにボケを挟んだりしなければいけない彼らの役どころや、ライブなどでおちゃらけている姿を考えれば、“ダセぇ人間”という役をあえて引き受け、その代わりに”信念”を貫く人間の歌として、この曲は今の彼らにぴたりとハマッている。脱退した数名のメンバーはこの曲をどう聴くのだろうか。”友よ”というタイトルからも離れていったメンバーを意識せざるを得ない。2019年の今の関ジャニ∞が歌うことに強く意味がある曲になっているだろう。

 一方で、カップリング曲にはメンバーらが曲作りした「My Story」(作詞:大倉忠義/作曲:安田章大)が収録されている。こちらはむしろメンバー内での朗らかなやり取りを収めたような一曲で、ウクレレの音色が印象的な平和なサウンドに〈君との時間 かけがえのないこの瞬間〉〈はしゃいで転んで笑って泣いて/泥だらけの僕らの物語〉とグループ活動を謳歌したり振り返るような歌詞となっている。最後は〈ここまで連れてきてくれて。ありがとう。〉と句点まで含めた丁寧な手紙調の歌詞で締めくくる。メンバー同士の素直な感謝の気持ちが込められた曲と言えるだろう。

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