back number、松任谷由実、山下達郎……切ないクリスマス曲が流行る理由は“会えない寂しさへの共感”?
雪にとけた在りし日の恋心
11月13日にリリースされた、4人組ボーカルグループ First placeが歌う「SNOW LIGHT」も、切ないクリスマスソングとして徐々に注目を集めている。同曲は、そんな切ないひとりぼっちの切なさを描いた、新たなクリスマス・スタンダードだ。First placeは昨年『名探偵コナン』のエンディングテーマ「さだめ」でメジャーデビューした4人組のボーカルグループで、6月には遠距離恋愛を意味する「Long Distance Love」をタイトルに冠したミニアルバム『L.D.Love』をリリースしている。
同作には、距離は離れていても強い絆で結ばれているふたりを歌った「瞬間≒FOREVER」という曲や、また会えた時に寂しかった気持ちや辛かった気持ちを笑い飛ばそうと歌った「L.D.Love」など、遠距離恋愛を前向きにとらえた楽曲を収録していた。今作「SNOW LIGHT」は、何かの訳があって別れてしまった彼女とのクリスマスを思い出して、切なくなってしまった瞬間を歌っている。前作の「瞬間≒FOREVER」や「L.D.Love」では遠距離をものともしなかったふたりだったが、もしかすると別れてしまったのかも? と想像することもできる。
「SNOW LIGHT」は、まるで華やかな冬の街の情景を映したような、キラキラとした美しいサウンドが印象的。透明感のあるボーカルと美しいハーモニーは、どこか聖歌隊のようなイメージで非常に温かだ。間奏にはブラスや鈴の音が使われていて、まさしくクリスマスの一夜といった感じ。しかしサビでは〈君がいないクリスマスは〉と歌い、せっかくのクリスマスなのに独りであることがわかる。街が華やかであればあるほど、どこか自分だけ別世界に取り残されてしまった気持ちになるように、サウンドが華やかであればあるほど、歌が温かであればあるほど、寂しさがつのり孤独感が増していく。〈距離〉という言葉も出てきて、前作に対するオマージュも感じる。そして最後に歌われている、〈雪にとけて消えた〉というフレーズ。雪にとかしたのは、彼女の涙なのか、ふたりの時間なのか、それとも自分の恋心なのか。聴く人の経験によって、さまざまに想像してもらえるだろう。
切ない歌詞ではあるが、決してネガティブなものではない。悔やんでいるわけでも恨んでいるわけでもなく、ただ思い出している。そんなこともあったな、と。そんな風に思い出して振り返ることができる恋愛を経験したことは、主人公の彼にとってはすごくいいことだったと思う。きっと彼女と真剣に向き合い、その恋を大切に想えばこその決断だったろう。First placeの4人の歌声からは、そんなすがすがしい様子も感じられる。まだそんな恋に出会っていない人は、この曲を聴いて自分もそんな恋がしたいなときっと思うだろう。
■榑林史章
「THE BEST☆HIT」の編集を経て音楽ライターに。オールジャンルに対応し、これまでにインタビューした本数は、延べ4,000本以上。日本工学院専門学校ミュージックカレッジで講師も務めている。
『SNOW LIGHT』Apple Music配信はこちら
■リリース情報
『SNOW LIGHT』
発売中
初回限定盤A(CD+DVD)
¥1,636(税別)
<収録楽曲>
1. SNOW LIGHT
2. 帰り道
< 特典DVD >
「SNOW LIGHT」Music Video+Making
初回限定盤B(CD+DVD)
¥2,091(税別)
<収録楽曲>
1. SNOW LIGHT
2. 帰り道
<特典DVD>
「1周年記念!First placeの夏休み2019」
デビュー1周年を迎えたメンバーに夏休みをサプライズプレゼント! 4人で駆け抜けた日々を振り返る懐かしトークから今後の目標まで、ここでしか聞けないマル秘対談をお届けします。さらに、メンバーの絆をより深めるべく様々な企画にも挑戦!!
通常盤(CDのみ)
¥1,182(税別)
<収録楽曲>
1. SNOW LIGHT
2. 帰り道
3. 証明-アカシ-