Baby kiy、SNS時代に求められる本質的な美しさ 全国ツアー最終日に感じたアイコンとしての魅力

 ネットの大海原を航海すると、無数のキラキラしたものに私たちは出会う。そこはもはや加工と編集で作りあげられた、“なりたい自分になれる世界”だ。それが決して悪いことだとは思わないが、だからこそ本質的に美しいものに人々は敏感なのではないだろうか。

Baby kiy

 10月22日、全国ツアー『BABY KIY TOUR 2019 “All About You”』のツアーファイナルで東京・日本橋三井ホールに降り立ったBaby kiyは、とても美しかった。それは、ただ単に容姿の話ではない。音楽をピュアに楽しんで、喜怒哀楽を包み隠さず全部見せて、目の前の人に丁寧に寄り添う。指先のアクションだけでは作りあげることのできない輝きで、彼女は観客を魅了したのだ。

 ステージ上に作り上げられたビーチの日が落ち、波の音に導かれバンドメンバーが登場。風に揺れる海のように期待感で会場がざわめくと、秋らしいオレンジのワンピースに身を包んだBaby kiyが現れた。オープニングを飾ったのは、デビュー曲である「Stay Here Maybe」だ。絹のような柔らかな声は転がるようにフロアを満たし、観客の体を自然に揺らす。「一緒に歌って! 足りない!」と煽る笑顔はいたずらで、夏の太陽のように輝いた。

 人気ナンバーの「Before the sunshine」は、レゲエアレンジ。脱力感のある空気は、彼女のプライベートパーティーに招かれたような心地よさを感じさせる。「Never get enough」を切ない表情で歌い上げ、Baby kiyという世界観にグングン引きこんでいった。

 楽しそうにセッションする姿を魅せつけたのは、新しくアレンジされた「Time for moving on」。ギター3本の重なりが心地よく、バンドで奏でるからこその意味を音が物語る。「Hey Darling」ではまっすぐな高音でホールを響かせ、クールな顔つきでテイラー・スウィフトの「Mean」をカバー。くるくる変わる表情は全く嫌味がなく、その自然体な姿には女の子の憧れそのものである。

 曲名のコールに歓声が沸いたのは、「Trouble」だ。キラーチューンの登場に、思わず口ずさむオーディエンスが続出。その光景を眺めるBaby kiyは心底嬉しそうで、ライブの説得力がより一層増していく。

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