森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.173
MWAM、WANIMA、宮本浩次、赤い公園、オカモトコウキ……ロックサウンドを追求した最新作
2018年5月の『VIVA LA ROCK』で新ボーカリスト石野理子の加入を発表。その後、彼女たちが(まるでバンド結成したばかりの頃のように)切磋琢磨、トライ&エラーを繰り返してきたことは想像に難くないが、新体制第1弾EP『消えない - EP』で4人は、赤い公園の新しい形を明確に提示してみせた。まわりの人たちの思惑や先入観に惑わされることなく、凛とした姿で生きていく意思をテーマにしたアッパーチューン「凛々爛々」、エレクトロポップとソウルミュージックから絡み合うようなポップナンバー「Yo-Ho」。洗練と先鋭がひとつになったギタープレイ、濃密にしてしなやかなリズムセクション、キュートにして鋭利なボーカルが有機的に結びついた本作によって、4人は自らのキャリアを鮮やかに切り開いた。そのことに心から賛辞を送りたい。
OKAMOTO'Sのギタリスト、オカモトコウキの初のソロアルバム『GIRL』。バンドが10周年を迎え、次のタームに向かう時期に差し掛かったことで、「自分の10年分の積年のメランコリックさと女々しさと音楽的衝動みたいなものを残らず全て吐き出さなくては前に進めないような気が致しましたので」(アルバムに寄せられた本人コメントより)というのがモチベーションだったという本作は、作詞・作曲はもちろん、ギター、ベース、ドラムなどもすべて本人が演奏。AOR、ネオアコ、90年代渋谷系(特に後期のフリッパーズ・ギター)などを想起させる、洗練と衝動をバランスよく備えたポップミュージックを表現している。ノスタルジックにして(タイトル通り)ちょっと女の子っぽい心情を映し出す歌詞、柔らかくて優しい歌声も、シンガーソングライターとしての彼の魅力だ。
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。