『京都音楽博覧会 2019』

くるりと『京都音博』の“すごさ”を改めて実感 兵庫慎司による全アクトレポート

never young beach

1 なんかさ
2 あまり行かない喫茶店で
3 STORY
4 いつも雨
5 どうでもいいけど
6 明るい未来
7 お別れの歌

  サポートギターとしてくるりでおなじみ、山本幹宗が加わった5人編成のnever young beach。安部勇磨(Vo/Gt)は岸田&佐藤と同じ菅笠をかぶって登場。今年の夏フェスでネバヤン観るの三回目くらいだな、でもいつどこでも始まった瞬間に場をつかんでるよな、などと思いながら観ていたら、最初のMCで安部勇磨、「(出演が)2年連続! びっくりして、うれしくなっちゃった」「ここ最近でいちばん緊張した、セットリスト何度考えたことか!」と喜びとテンパリの気持ちを表す。あと、しゃべっている途中で『音博』名物の(隣接する京都鉄道博物館の)汽笛がボーッと鳴ったのに「えっ!」と反応してみせて笑いを取ったりもする。

  後半、「どうでもいいけど」「明るい未来」「お別れの歌」の三連打で梅小路公園を包んだせつない幸福感、ちょっと、「楽しい」を超えて「鳥肌」レベルだった。なお、「お別れの歌」で雨が降り始めた。

NUMBER GIRL

1 鉄風 鋭くなって
2 タッチ
3 ZEGEN VS UNDERCOVER
4 OMOIDE IN MY HEAD
5 YOUNG GIRL SEVENTEEN SEXUALLY KNOWING
6 透明少女
7 日常に生きる少女
8 Tattoあり
9 I don’t know

  ある意味今日のハイライト、しかしnever young beachの最後に降り始めた雨は転換中に勢いを増し、NUMBER GIRLのスタート時点ではすっかり豪雨に。しかし、ご覧のようにいちいちイントロで「おおっ!」となるようなセットリストに(他にもまだまだあるけど、そういう曲)、参加者、1曲ごとに狂喜する。

 特におもしろいと思ったのが、4人の演奏そのもの、向井秀徳の歌そのもの。なんというか「昔NUMBER GIRLをやっていた凄腕ミュージシャンたちが集結した」みたいな、ある種落ち着いた感じが皆無だった。当時のまんまの、攻撃的で生々しいNUMBER GIRLだった。4人とも、NUMBER GIRLに来るとこうなるんだなあ、バンドっておもしろいなあ、と改めて思いました。

 なお、向井曰く、再結成を発表して2分後に、岸田から電話があった、とのこと。

 ちなみに、エグいくらいの大雨は、6曲目あたりでは小雨になっていて、ラストの曲の頃には止んでいた。それも含めて、NUMBER GIRL「らしい」とも言える。

BEGIN

1 恋しくて
2 海の声
3 オジー自慢のオリオンビール
4 島人ぬ宝
5 笑顔のまんま
6 涙そうそう

 続くBEGINは出てくるなり最初の大ヒット曲「恋しくて」でガツンと場をつかみ、続いて比嘉栄昇(Vo)が「NUMBER GIRLめっちゃかっこよかったです! みんなもかっこよかった、合羽着て……合羽って言わんか?」と和ませたと思ったら、「どんなの聴きたい? 今なら(曲を)変えれるからな!」とリクエストを募る。で、客席から飛ぶ声に「『島人』? やるに決まってるだろ」と返したり、「『オリオン』? じゃあ『オリオン』もやろう」と受け入れたりした末に、上記のような「ファンじゃなくても知ってる」レベルのアンセム目白押し。

 うっとりするわ、こんなもん! 底力が計り知れない人たち、というのは、BEGINのようなバンドのことを言うのだな、と痛感した。

関連記事