AKB48、総選挙なしでも初週100万枚突破継続中 原点回帰した「サステナブル」を分析

 では、「サステナブル」の楽曲はどうなのか? 作詞は秋元康、作編曲は井上ヨシマサというAKB48最初期から続くコンビによる作品です。

 イントロ3秒で響きだす生のブラスセクションとコーラス(このコーラスには井上ヨシマサも参加)。これは紛れもなく48系のサウンドプロダクションで、ひとつの様式美のように変わりません。Aメロのコーラスの入れ方はほぼオールディーズですが、これもAKB48の楽曲群に見られてきたテイストです。シンセドラムっぽい音の打ち込みも、かなり意図的なものでしょう。最後の歌詞である〈これからも ずっと〉のうち、〈ずっと〉はほぼコーラスによるものだという点にも、コーラスが前面に出るという様式美を感じました。

 そして、メロディーラインの明朗さ、覚えやすさ。これを「中庸」と呼ぶことはたやすいですが、そうそう真似しがたい職人技であることも事実です。前述した「Everyday、カチューシャ」も井上ヨシマサ作品ですが、Dメロのカタルシスは今もなお健在です。

 「サステナブル」のMVを見ていると、IZ*ONEに参加する宮脇咲良、矢吹奈子、本田仁美がフロントにいて海外進出を強く意識していた「NO WAY MAN」の緊張感は何だったのだろうとも感じます。まだ去年のことなのに。その辺をあっさり置いていく「サステナブル」の潔さにもうなりました。

 「サステナブル」とは、持続可能性を意味します。未来のために、見る人それぞれの胸の中の「AKB48」を呼び起こす作業をしているのが「サステナブル」という作品だとも言えるでしょう。

■宗像明将
1972年生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。近年は時流に押され、趣味の範囲にしておきたかったアイドルに関しての原稿執筆も多い。Twitter

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