Perfumeのライブは、なぜ“至上の音楽体験”をもたらすのか 3つのポイントから考察

2:百戦錬磨のライブスタイル

 Perfumeはこれまでに、路上ライブから新宿LOFTや渋谷O-WESTといったライブハウス、固定席のホール、アリーナやドームなどの大会場、ロックフェス、海外ツアー、はたまた『SONICMANIA』や『Ultra Korea』といったダンス系フェスなど、非常に幅広いステージに立っている。ライブを数多く行うことで地力を付けるだけでなく、アウェイな雰囲気や他流試合の逆境を跳ね返すために試行錯誤を重ねた経験もあれば、フェスで世界各国のDJやバンドと競演することで、その優れたパフォーマンスに刺激や影響を受けることもあったはず。高い経験値と創意工夫が、彼女たちのパフォーマンスの下地になっている。

 そして映画『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』などで言及されている、MIKIKOのノートの効果も見逃せない。彼女はPerfumeのリハーサルやライブにおいて、気付いた課題や修正すべき箇所を細かくノートに書き込んでいる(筆者もライブ中にその様子を見かけたことがある)。Perfumeがこのノートを元に、日々ダンスや演出のあり方を見つめ直し、その精度を高め、改善と更新を図ってきたことが、グループとしての成長に大きく作用していることは間違いない。

 Perfumeはこれらの修練をストイックに積み重ね、場数を踏んできたことで、百戦錬磨のライブスタイルを築き上げたと言えるだろう。

3:メンバーの資質

 Perfumeの3人は各々の声質が異なるが、それゆえにユニゾンで歌うと3声が調和した独特の魅力がある。その一方で、3人の体格や身長にはあまり差異がないこともあり、ダンスのシルエットが揃って非常に端正に見える。これはヒールを履いているにも関わらず、複雑な振付を難なくこなす(ように見せる)3人の高い身体能力や技術力も大きい。

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 そしてダンスという身体表現の魅力は普遍的かつノンバーバル(非言語的)であり、言語や文化の壁を越えやすい。それこそコーチェラに留まらず、世界のどの国でも通用するものだろう。

 いまの3人が偶然集まった結果、これらの要素を兼ね備えることとなったPerfume。ちょうど日本国内でも、彼女たちの楽曲がストリーミングサービスで聴けるようになったことで作品に親しむ層はさらに拡がるだろう。そしてその楽曲はライブという空間で、3人のダンスや衣装、照明、音響、映像やテクノロジー演出、さらには観客の熱量と一体化する。そんなPerfumeの真髄であるライブは、至上の音楽体験でもあるのだ。

■tk8
会社員/ライター。2005年より活動を追ってきたPerfumeに関する著書『Kind of Perfume』を長らく構想中。

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