乃木坂46、最新シングルがミリオン級売上を記録 メロディの美しさで勝負した楽曲群を分析
そして、今回のシングルはそうした方向性にまとめている印象がある。通常盤とType-AからType-Dの各形態合わせて全6曲のカップリング曲が収録されているが、どれも爽やかな音色と美メロが印象深い。中でも乃木坂46とは縁の深い杉山勝彦が作曲した「路面電車の街」「図書室の君へ」「時々 思い出してください」「僕の思い込み」の4つの作品にその傾向が強いだろう。
故郷への慕情を歌う「路面電車の街」の温かなメロディや、図書室で出会った〈君〉への片思いを歌った「図書室の君へ」、卒業した桜井玲香が後輩たちへ歌うソロ曲「時々 思い出してください」、杉山のJ-POP愛が随所に滲み出た「僕の思い込み」といずれもメロディの美しさが光る。
また、全形態に収録されているカップリング曲「僕のこと、知ってる?」は、切ないピアノのフレーズと主人公の孤独を歌った歌詞から始まり、場面転換を経てサビへと移行する、これぞ乃木坂46といった展開の一曲だ。「何度目の青空か?」や「サヨナラの意味」といったグループの代表曲を彷彿とさせる作風に、どことなく聴いていても安心感がある。
全体的にグループのイメージに即した音選びと、奇を衒わないストレートな曲作りを見せている。表題曲のセンターは4期生の遠藤さくらが抜擢されているが、そうしたサプライズ性を作品に落とし込むことはせずに、爽やかな音とメロディの美しさといった楽曲の純粋な魅力で勝負したシングルリリースだ。
■荻原 梓
88年生まれ。都内でCDを売りながら『クイック・ジャパン』などに記事を寄稿。
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