BLUE ENCOUNTとKEYTALKが築いてきた信頼関係 お互いの楽曲もカバーした『ANN』を聞いて
『オールナイトニッポン』で象徴的だったのは、番組終盤で行われたお互いのカバー曲の披露である。ここでは、BLUE ENCOUNTはKEYTALKの「パラレル」を、KEYTALKはBLUE ENCOUNTの「もっと光を」をカバーした。両曲ともお互いのメジャー1stアルバムに収録されている曲であり、どちらもファンに人気の高い楽曲である。アコースティックギターの弾き語りで楽曲を披露するというシンプルなアレンジながら、お互いそれぞれの楽曲を完全に自分のものにしていた。KEYTALKの楽曲はアレンジの妙で魅せることが多いが、田邉が歌うことで、普段はなかなか見えづらいKEYTALKのメロディそのものの美しさを際立たせていた。しかも、田邉は綺麗な声で力強く歌うのが持ち味であるため、なおのこと、弾き語りというスタイルが映える。番組の空気を見事に変えてみせていた。一方、「もっと光を」も普段はアップテンポなバンドサウンドで披露されることが多い楽曲のため、寺中が哀愁を漂わせながら伸びやかに歌うことで、普段とは違う魅力を持った楽曲に生まれ変わっていた。
番組全体としては、ちょっとヤンチャな友達同士がワイワイと盛り上がるようなテンションだった『オールナイトニッポン』。萎縮することなく、相手の表情を伺うわけでもなく、時にボケて、時に無茶振りをしながら、リスペクトするべきところはきちんとリスペクトして番組を進行していく。デビュー初期から、自分たちがかっこいいと思うサウンドを鳴らして、一緒にライブをして信頼関係を築いてきた二組だからこその番組だった。若手から中堅に差し掛かろうとしているこの二組は、今後も互いに切磋琢磨しながら、きっとシーンに新たな風を吹かせるのだろう。そんな期待すら感じた。
■ロッキン・ライフの中の人
大阪生まれ大阪育ち。ペンネームにあるのは自身が運営するブログ名から。人情派音楽アカウントと標榜しながら、音楽メディアやTwitterなどで音楽テキストを載せてます。