三代目JSB、Afrojackとのコラボ曲の特徴は? 「Summer Madness」から分析
また、同曲について述べる際、派手なサウンドメイクが影響してか“アガる”部分に焦点が当てられがちなように感じる。しかし、それは同曲の一要素にすぎない。
確かにEDMならではの高揚と快楽はあるものの、そこには儚さすら感じるのだ。“ザ・夏ソング”な清涼感ある晴れやかなAメロ〜Bメロから一転、サビでドロップとともにメロディアスなシンセサイザーがリフレインし、シリアスさと切なさが同居したサウンドへと切り替わる。構成だけでいえばEDM独特の急展開ではあるのだが、開放的に向かっていくのではなくむしろ翳りを見せていく転換に少し驚いてしまう。そして一気に惹きつけられるのだ。
さらに、同曲のMVでは、クラブのような場所で大勢の観客と三代目JSBが一体となり踊るシーンがある。その瞬間的な高揚と快楽を写した映像とともに同曲を聞くと、なんだか胸が締め付けられてしまうのは私だけだろうか。同曲に備わったこうした儚さこそが、リスナーの懐に上手く入っていった理由だったと思っている。
「SCARLET feat. Afrojack」は“豪快なサウンドかつ少し切なさや儚さも感じさせる美しいサウンドが特徴的なアッパーバラード”になっているという(参照)。果たして三代目JSBは、Afrojackとジョルジオ・タインフォートが作り上げた楽曲をどのように日本のポップシーンに展開していくのだろうか。
(文=北村奈都樹)