嵐、ベストアルバムが4週目にして再び首位に 時代ごとに変化を遂げた楽曲群を分析

 ディスク3へ移り2010年代に入ると、録音技術の変化もあるのか音の粒立ちがはっきりとしていて聴いているだけでも気持ちが良い。時代としてはこの頃から本格的にEDMの波が押し寄せてくるところ。ここでの嵐の楽曲は、ディスク2で作り上げたある種の”型”をいかに時代に合わせて更新していくかという点で興味深い。「Face Down」や「Breathless」、「Bittersweet」あたりの曲から同時代のダンスミュージックとの絶妙な距離感が見て取れる。たとえば、「Troublemaker」の全体に漲るあのワクワク感の裏にはイントロとサビでの大胆なオーケストレーションとAメロでのエレクトロサウンドとの両立がある。

 ディスク4の幕開けとなる「GUTS!」から「青空の下、キミのとなり」までの4曲は『THE DIGITALIAN』と『Japonism』というふたつの大きなコンセプトアルバムを発売した頃の嵐で、曲単体からも当時のテーマがしっかりと浮かび上がる。また、中期嵐の良いところを蘇らせたような感覚の「愛を叫べ」や、山下達郎・竹内まりや夫妻が作詞作曲した「復活LOVE」には大人になった5人の成熟した魅力が詰まっている。このように、”時の変化”を上手く作品に落とし込んでいるのもディスク4の魅力だ。最後を締める新録「5x20」は、昨年発売されたアルバム『「untitled」』の最後を飾る「Song for you」にも似た壮大な曲調で、嵐からの20年間を支えてきてくれたファンに対する心からの感謝の一曲だろう。

■荻原 梓
88年生まれ。都内でCDを売りながら『クイック・ジャパン』などに記事を寄稿。
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Twitter(@az_ogi)

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