V6、嵐からHey! Say! JUMP、King & Princeまで “ジャニーズイズム”息づく5~6月リリース

King & Prince『King & Prince』

 King & Prince令和初のリリースは、キャリア初のフルアルバム。「シンデレラガール」「君を待ってる」「Memorial」など人気の話題曲が満載の、彼らの現在置がよくわかる作品に仕上がっている。

 スタンダードなポップスからEDM風のダンスナンバー、壮大なバラードまで幅広い楽曲を歌いこなす彼らの歌声からは、歌唱力やパフォーマンス力のみならず、King & Princeとしての活動の中で遂げてきた人間的な成長までもがくっきりと見てとれるようだ。今までのシングルでは見られなかった大人っぽい表情も堪能できる、粒よりの楽曲が揃っている。

 Mr.King vs Mr.Princeで6人が出会い、引き合わされて4年が経った現在のKing & Princeの集大成的作品。いつか彼らが名実ともに“King”“Prince”になる日が想像できるような、奥深い17曲だ。

山下智久『CHANGE』

 山下智久の最新楽曲は、現在の彼の挑戦的な姿勢をより色濃く映したミクスチャーナンバー「CHANGE」。山下主演のドラマ『インハンド』(TBS系)主題歌にも起用されたこの楽曲は、どこかエスニックで浮遊感と陶酔感を感じるサウンドが印象的だ。

 そして何より特筆すべきなのが、山下自ら手掛けたという歌詞。ドラマのストーリーを意識してか「猿」「カメレオン」「ブラックフラミンゴ」など動物の名前が登場するシニカルなリリックには、風刺的な要素が垣間見える。比喩やモチーフの選び方も絶妙だ。鋭く力強い歌詞をクールに歌う山下の歌声は、静かなエモーションに満ち溢れていて不敵なほどに凛々しい。

嵐『5×20 All the BEST!! 1999-2019』

 結成20周年を迎えた嵐がリリースした、20年間の歩みを示すベストアルバム。Disc1~4にまで渡る大ボリュームのCDは、ファンならずとも思わず手元に置いておきたくなる珠玉の楽曲ばかり。

 誰もが知る人気曲もあれば、ファンの間では人気を集める隠れた名曲もある。嵐の成長と挑戦の歴史ともいえる楽曲たちを改めて聴いていると、決して順風満帆ではなかったであろう――しかし、最高に輝いている5人の日々を想像することができるだろう。そんな彼らの想いが詰め込まれた、唯一の新曲であるアニバーサリーソング「5×20」も必聴。10周年のアニバーサリーソングで根強い人気を誇る「5×10」へのセルフオマージュも込められたこの楽曲は、嵐からファンへ、そして“嵐”自身への感謝が結晶となったように、キラキラといとおしく輝いている。

 来たる夏を思わせる爽快感と、7作それぞれのエモーションがこれでもかと詰め込まれた作品が勢ぞろいした、5月・6月のジャニーズ新譜。夏本番となる7月以降にはライブツアーが決まっているグループやアーティストも多く、今後の精力的な活動にも期待が尽きない。

 目まぐるしく変化する時代と共に、音楽も変わり続けていく。時代の変化を取り入れながら進化を続けるジャニーズ楽曲の数々だが、その根底に息づく“ジャニーズイズム”はこれからも変わることなく受け継がれていくことだろう。正に“Show must go on”を体現するジャニーズたちの活躍とその楽曲たちに、今後も絶えることない拍手を送り続けたい。

■五十嵐文章(いがらし ふみあき)
音楽ライター。主に邦楽ロックについて関心が強く、「rockinon. com」「UtaTen」などの音楽情報メディアにレビュー/ライブレポート/コラムなどを掲載。noteにて個人の趣味全開のエッセイなども執筆中。ジャニーズでは嵐が好き。
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