日向坂46「やさしさが邪魔をする」は柿崎芽実を彷彿とさせる? 加藤×渡邉×上村ユニット曲を考察
MVも素晴らしい。各メンバーの切なげで凛とした表情にはこんな一面もあるのかと思わず見入ってしまう。また、セーラー服姿の3人が揃って踊るシーンも印象的だ。まるで何かから解放されたかのような軽やかさ/自由さがあり胸が掴まれた。
そして一番重要なのがその歌詞だ。同曲は“別れ”を彷彿とさせると同時に相手のことを考えて送りだす主人公の心情も描かれている。このタイミングでこの歌詞となると、卒業を発表した柿崎芽実を思い出す。歌詞に〈キリマンジャロのコーヒー〉というワードを出すところに、ブラックコーヒー好きとして知られる柿崎が浮かんだ人もいるはず。そういった意図はなかったとしても、彼女の境遇を重ね合わせて歌詞を読むとまた違った景色が見えてくることだろう。また、同曲を一期〜三期生の代表者たちが歌うと、まるで卒業式の送辞のようにも思えてくる。
けやき坂46時代には「ひらがなけやき」や「期待していない自分」など自分たちの境遇とも重なる楽曲を歌ってきた日向坂。そういった楽曲に惹きつけられたファンは多いことだろう。また、「やさしさが邪魔をする」は、別れを惜しみつつも未来に向かっている楽曲になっていて彼女たちらしい。『ドレミソラシド』に収録された楽曲のなかでも、実に感慨深く何度も繰り返して聴きたくなる楽曲だ。早くライブでそのパフォーマンスを見てみたい。
(文=本 手)