欅坂46 原田葵も復帰 『欅共和国2019』で見せた“漢字欅”の団結力

 特筆すべきは「避雷針」からの流れだ。雷の効果音が大音量で流されるとステージは異様な雰囲気に。暗くなった会場で披露される力強いダンスに会場は釘付けになっていく。

 その後、「AM1:27」「I’m out」「キミガイナイ」と続き、ラストスパートをかけるようにして「語るなら未来を…」「風に吹かれても」と休むことなく渾身のパフォーマンスを披露する。毎回体力を必要とされる過酷な欅坂46のライブだが、そうしたセットリスト組みがかえって観客の熱を煽るため、この日も怒涛の終盤で会場のテンションを高めていく。

 さらに、今回初めて導入された「ウォータースクリーン」は、ステージ前で水が放射状に噴水され、そこにプロジェクターで映像が投影される幻想的な装置。ライブ終盤にヒートアップさせる大きな役割を果たしていた。

 ギリシャ神話の神・ポセイドンが出現するウォータースクリーンの演出を経て、最後に「サイレントマジョリティー」でイベントを華麗に締めた。

 日の出ている時間帯から時間が経つに連れて日が落ちていく野外会場の特性と、明るい曲から始まり多様な楽曲を経由して世界観を極めつつ、最後は「サイレントマジョリティー」でビシッと締める構成とがしっかりと噛み合い、本来の楽曲の魅力が何倍にも膨れ上がっている。また、最終日はちょうど七夕の日ということで、多くのファンが待ち望んだ原田葵の復帰により”願いの叶った”一日になったことだろう。MCは一度のみでパフォーマンスに集中できるライブ作りもこのグループらしい。

 もう一つ重要なのが、昨年まで共演していたけやき坂46(現・日向坂46)が今回は出演せず、欅坂46のみでのライブとなったこと。これにより1期生の17人と2期生の9人が力を合わせてひとつのライブを作り上げている。こうしたイベントを積み重ねていくことで、より一層団結力が高まり、今後も坂を駆け上がっていくことだろう。

(写真=上山陽介)

■荻原 梓
88年生まれ。都内でCDを売りながら『クイック・ジャパン』などに記事を寄稿。
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欅坂46 公式サイト

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