milet、二度目のライブで見せた堂々たるパフォーマンス  『SPECIAL SHOW CASE vol.2』レポ

 milet(ミレイ)が6月11日、東京・渋谷Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREにて、2nd EP『Wonderland EP』のリリースを記念したライブイベント『milet SPECIAL SHOW CASE vol.2』を開催した。竹内結子主演のドラマ『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(フジテレビ系)の主題歌などを収録した1st EP『inside you EP』で3月6日にメジャーデビューを果たした彼女は、3月25日にBillboardLive TOKYOでデビュー後初のライブイベントなる『milet SPECIAL SHOW CASE vol.1』を開催。今回で二度目のライブとなるが、彼女のパフォーマンスは堂々たるものだった。

miletの魅力は、遠い世界の物語を見せてくれるような歌声

 あの華奢な体からどうして、これほどの音量と音質と深みが出せるのか。彼女がステージの中央に立って口を開き、あの低くハスキーな声が聞こえると、一瞬にしてその場の風景が変わる。目の前の空気が一気に変わったという実感を得ると同時に、心の中を漂っているモヤモヤをも晴らしてくれるようなパワーと開放感を持っている。地鳴りのようなロートーンから伸びやかなハイトーン、そして浮遊感のあるファルセットまでを堂々と歌いこなす強さと自信。ワールドスタンダードと胸を張っているくらいの圧倒的なスケールに包まれて、気持ちが徐々に高められていく。純粋に歌声だけでこれだけの世界観を作り出せることに心底驚かされるし、ほぼライブ経験がなく、デビューから3カ月しか経ってないことを再確認するにつれ、さらに驚いてしまう。

 デビュー3カ月にして、ドラマ『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』と『JOKER×FACE』(フジテレビ系)の主題歌とエンディングテーマ、さらに原恵一監督のアニメーション映画『バースデー・ワンダーランド』の主題歌と挿入歌を手がけているmilet。映像とのマッチングが抜群であることの証でもあるように思えるが、そもそも彼女の歌声自体にどこか遠い世界の物語を見せてくれる力があるのだと思う。目の前の風景が変わるというのは、つまり、そうことなのだ。

 スナップとライトの点滅が同期していたオルタナR&B「Waterfall」では、タイトル通り、脳裏に滝が思い浮かんだ。木々が生い茂った湿った森の中で見つけた仄暗く小さな滝から、大量の水が激しく強く水面に打ち付ける爆滝へ。感情の起伏をダイナミックに表現し、終わりの始まりを歌った「Undone」では、“私”以外の誰もいない夜の街を走り抜けていった。様々な角度からライトが照らされているが、彼女の顔は影になっており、どんな表情をしているかは見えない。心の深い部分にある闇や、たった一人という孤独感をテーマにした楽曲が多いのも特徴の1つ。ただ、その孤独は、決して寂しく悲しいだけではなく、時には心地よさや自由を感じ、時には“一人であると感じているのは私だけではないんだ”というシンパシーを呼び起こし、時には鏡を見ながら自分と向き合う必要性を訴えかけたりしている。全ては複層的で、聴き手の想像力を喚起する余地を残してくれている。

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