乃木坂46、なぜ2期生メンバーに今注目するべきなのか 最多選抜入りなどに感じる変化の兆し
乃木坂46にとって登竜門とされる『プリンシパル』シリーズだが、3期生と4期生は『3人のプリンシパル』としてそれぞれ上演されたこと、その後に期生単独ライブが開催されたことも、2期生との大きな差になっている。2期生が参加した『16人のプリンシパル trois』は、まだ多くのメンバーが研究生だった。その後、2期生の単独ライブが開催されることもなく、彼女たちだけのステージはファンから待ち望まれているライブの一つでもある。
そんなファンの思いが形になった瞬間があった。それが、2017年に明治神宮野球場で開催された『真夏の全国ツアー』。各期生が順に歌唱ブロックを繋いでいくライブで、3期生のバトンを受け取り見せた2期生のパフォーマンスは圧巻だった。2期生のみでの「バレッタ」に始まり、寺田の「皆さんにとって、2期生はどのように見えていますか?」という切実なメッセージ。「嫉妬の権利」は、2期生が選抜メンバーに選ばれることのなかった13thシングル『今、話したい誰かがいる』アンダー曲だ。バラバラの色で輝く2期生を、渡辺は過去に“虹”と例えている(『BRODY 2017年10月号』より)。一度も揃うことのなかった彼女たちが、初めて全員でステージに立った時、沈みゆく夕陽よりも輝く光を放つ。〈決心のきっかけは理屈ではなくて いつだってこの胸の衝動から始まる〉ーーラストの「きっかけ」を歌う2期生の表情が、涙と笑顔で入り混じっていたことは忘れられない。
それから2年が経過し、このタイミングで再び2期生がフィーチャーされるのは、彼女たちに幾つかの変化が訪れているからだ。まずは、2期生だけでなくアンダーメンバーのまとめ役だった伊藤かりんが、5月24日の横浜アリーナでのアンダーライブにてグループを卒業したことが大きい。これで2期生は、現在9名。卒業ラッシュと言われる1期生の陰で、2期生の旅立ちも少しずつ始まっている。伊藤かりんは、一度も選抜として日の目を見ることなく卒業していったメンバーだった。伊藤純奈、佐々木、山崎の3名が伊藤かりんと同じ境遇であり、なんとか選抜入りさせたいという心情も窺い知れる。その一方で、23rdシングル曲「Sing Out!」は、堀、北野、鈴木、渡辺、新内の5名が選抜入りするという、これまでのシングルで最も2期生が多いフォーメーションでもあり、さらにアンダーセンターは寺田と、2期生へ追い風が吹いている状態にあるのだ。不遇と言われた2期生にとって、今年の夏が大きな節目になることを祈っている。
■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter