s**t kingzが明かす、Da-iCE振付の舞台裏とメンバーの成長「“簡単にしよう”という発想はゼロ」
難しそうでもトライしてモノにしてくれる
ーー(笑)。今回のベスト盤の収録曲はみなさんが振り付けた楽曲が大半を占めていて、ライブでも人気の代表曲ばかりです。数が多いので絞りきれないと思いますが、振付した楽曲について記憶に残っているエピソードを教えていただけますか? たとえばkazukiさん振付の「パラダイブ」はフェスでも必ず披露されていて、6面(Da-iCEファン)の方々以外にもかなり知名度の高い曲だと思いますが。
kazuki:「あのタオル回す曲!」みたいな。あの曲のMVでは、サビでも踊ってるんですよ。でもフェスでやるときに「kazukiさんすみません、せっかくサビの振り作ってもらったのにタオル回すことになっちゃいます」ってメンバーに言われて、「全然いいよ!」って言って。逆にその気遣いがちょっとかわいいなと思ったな(笑)。それで実際に『a-nation』かな、その曲でお客さんが一斉にタオル回して盛り上がってくれている様子を見たときには、すごくうれしくて感慨深かったです。
ーー「パラダイブ」は間奏部分にもしっかりダンスの見どころがありますしね。shojiさんはいかがですか?
shoji:たくさん振りを付けさせてもらっているけど、曲としては「雲を抜けた青空」がすごく好きなんですよね。ライブでは「着れないままのコート」とかメロウな曲もやってるんですけど比較的激しい曲が多かったので、珍しくシングルの表題曲で本人たちからこういうバラードのオファーをいただきまして。初めて聴いたときから「めっちゃ名曲!」って思ってたからこれは幸せだなと思いながら振付して。アシスタントの子たちもみんな「すっごくいい曲ですよね」って言ってくるんで、自分が曲作ってるわけでもないのに「でしょ?」って僕がドヤるっていう(笑)。この曲はテンポ的にはゆっくりですけど、サビ部分の振りは細かめに作ってるのが特徴的かもしれないです。
Oguri:僕はメロウな曲を多く担当してきた中で「トニカクHEY」が曲もかっこいいし、自分自身でも踊っててめちゃくちゃ楽しかったな、というのがあります。MV撮影も、ペンキを使うシーンには立ち会えなかったんですけど、ダンスのところから合流させてもらったので、その撮影も含めて思い出深いですね。衣装もスーツでビシッとキメてるイメージが強いですけど、この曲は楽曲やストリートっぽい衣装も含めてすごく好きでした。
ーーDa-iCEでストリート色の強い楽曲や振り、衣装というのも結構珍しいですよね。NOPPOさんは?
NOPPO:個人的にずっと聴いてる曲といえば、今でも最初に振り付けた「TOKI」なんですけど。振り作りやMV撮影とか、トータルで面白かったのは「FAKESHOW」。曲調は激しいんですけど、Da-iCEの曲の中でも初めてキャッチーさを意識して作った曲で、あの手の動き(注:煙を表すような)を何回も入れるようにして。この曲のMVは海外のリスナーにも結構見てもらっているみたいで、リアクションビデオ(※曲に驚くなど、リアクションを投稿した動画)みたいなのも見つけて。こういうのが海外の人にも響くんだなとか、いろいろ感じた曲でした。
ーー今回のベスト盤には初めてみなさんが全員で振付した「FAKE ME FAKE ME OUT」も収録されていますね。マイクスタンドを使う振付が大人な感じで、すごくかっこよくて。
shoji:手前味噌ですけど、ホントにかっこいいんだよね。
Oguri:おしゃれだし。
ーー4人で振付するときはどうやって固めていくんですか?
shoji:パート分けして作る部分と、4人でスタジオに入って一緒に考えて作る部分がありますね。基本的にパート分けして作る部分は、ジャンケンで勝った人が作りたいところを作るというスタンスなんですよ。今回は、これまでそれぞれたくさん振付してきてるというのもありますけど、今までの彼らの曲調ともちょっと違う曲なので、せっかくだから今までの振付にはなかったようなものを作ろう! ということになって、マイクスタンドを使うことにしたんです。で、4人で「マイクスタンドがこう動いたら面白いんじゃないか?」とあれこれ意見を出し合いながら全体の構成とか流れを作っていきました。
kazuki:最初にマイクスタンドを足で立ち上げる動きがあるんですけど、想太が「あそこが毎回緊張するんですよね」って言ってましたね(笑)。
NOPPO:s**t kingzでは、もうマイクスタンド使う振付は絶対お願いされないかもしれないなって思うくらい、みんな振り絞って、いろいろなアイデアを出しましたから。
ーーマイクスタンドを使う振付もいろいろありますけど、この曲での使い方には「こう来たか!」という意外性があるんですよね。
Oguri:僕らの中でも一回できたものを「いやいや、もっと面白くできるんじゃないの?」みたいな感じで練り直して。
shoji:リハの日数もいつもよりかかったよね。振りを一回完成させてからもう一日取って、結局そこでもガラッと変えて。
ーーブラッシュアップを重ねた完成形が今の形ということで。ボーカルの2人が歌いながら踊るには、かなり難易度の高い振りだと思いますが。
shoji:でも、Da-iCEの振付をやるときには基本的に「(歌もあるから)簡単にしよう」という発想はゼロなんですよ。歌割を考えたら難しそうかな? と思いつつ、「あの2人なら大丈夫、いけるっしょ!」みたいな感じで、とりあえず一番理想的な形で持っていこう、というスタンスで臨めるんですよね。実際、難しそうでもトライしてモノにしてくれるから、そういう意味では作り甲斐がありますね。
NOPPO:僕らの無茶ぶりを何年も体験してるからかもしれないけど、本当に2人とも器用だよね。
kazuki:年々、その器用さが増していってる感じもするし。
ーー同じくベスト盤に収録された新曲「TIME COASTER」は、shojiさん、kazukiさんの共作ですね。
kazuki:この曲に関しても、この2人で作ってくださいということ以外の特別なオーダーはなかったんですよ。前半のパートをshojiくんが作ってくれて「こんな感じでいこうと思う」と見せられたときに、激しくて、なおかつ難しすぎるからビビったんですよね。ちょっと手直しするかもって言われていたのに、しばらく経ってDa-iCEのみんながそれを踊ってるのを見たら、shojiくんに見せてもらったのとほとんど変わってなかったんですよ。
全員:(爆笑)
shoji:だって、踊れちゃうんだもん。
kazuki:ホントに、Da-iCEのみんなは全然踊れてたから、あれでよかったんだなって。曲も勢いがあって、あのパフォーマンスを生で見たらかなりかっこいい予感がします。
ーーどんなイメージで振りを構成されたんですか?
shoji:タイトルが「TIME COASTER」ということで、時間の流れを感じさせるような動きを入れたいなと思ったんですよ。サビで時計の針をイメージした動きを入れたり、曲の途中で右腕だけが同じ動きを繰り返して他の部位で動きで変化を出したり、一定に刻まれる時間の中の変化などを意識しながら作りましたね。