『祭元年~新しい挑戦~』
祭nine.、新時代にてっぺん掴むか 独自性が開花した令和初の武道館公演を振り返る
歌番組風の企画コーナー「祭ベストテン」では、“辻柳徹子”(ボイメン・辻本達規)と“米宏”(ボイメン・水野勝)の仕切りで、観客投票による人気楽曲をランキング順にパフォーマンス。天規がハットにラメのジャケットなどマイケル・ジャクソン風、統威がミリタリーテイストなど、それぞれの個性を反映した赤い衣装に着替え、ボイメンや研究生のおなじみの楽曲も含めて歌い上げた。ここではBMKも、この日初披露となるキャッチーな振りの新曲「バリガチタッチダウン」(発売日未定)を披露。そして全国から参加したエリア研究生たちも「VIVA!サマーウォーズ」(5月10日発売のシングル『無敵のOne Way Road』収録)で、フレッシュかつキレのあるパフォーマンスを見せる。「なんで祭nine.の曲が1位じゃないの?」というボヤきも交えつつ、1位のBOYS AND MEN 誠(以下、誠)の代表曲「READY×READY!」では、誠の面々と祭nine.がコラボする形でにぎやかにコーナーを締めくくった。
終盤MCでは最年長の天規が「武道館が決まったときには俺たち本当に不安だったし、周囲にも『無理でしょ』って言われて。でも今、目の前にはこうやって応援してくれる方々がいて、横を見たら一緒に歩んでくれるメンバーがいます。本当に俺たちって幸せだなあって」と話しながら、後ろを向いて涙をぬぐうひと幕も。改めてステージに呼び込まれたボイメンファミリーからは「これからも切磋琢磨していきましょう。俺たちもここでライブしたいって本気で思ってるから!」(BMK・米谷)、「僕らも今日のステージからすごく刺激と元気をもらいました」(ボイメン・水野)と、激励のコメントが贈られた。
兄貴分のボイメンがロックテイストの新曲「頭の中のフィルム」(5月29日リリース)で貫録を見せつけたあと、頼我がこのライブを総括する形で話し始める。「僕たち祭nine.のテーマは“夢”です。これからもみんなといろんな夢を見ていけるように活動に取り組んでいきたいと思うし……僕は泣かないよ?」と前振りしつつ、結局大粒の涙をこぼしながらも「夢は諦めなければ必ず叶う、その諦めない姿を見せることでこれからも多くの方についてきてもらえるように、どんな挑戦だって乗り越えていきたいと思っています。今日のことをこれからも忘れずに、僕たち祭nine.は祭を興し続けます!」と熱く語った。続く「39S」の曲振りでやはり泣きすぎてうまく言葉が出てこない奏を陸人がぎゅっとハグしたり、本編ラストの「みらい結び」で、最年少の高崎寿希也が頼我の肩を抱き、統威や拓也はステージの端まで出て笑顔でファンに手を振り続けていた姿も印象深かった。
アンコールでは空気をガラッと変えて、頼我が先生、奏&陸人が優等生、拓也&寿希也&統威が不良、天規が“40年ダブってる”おっさん番長役で、ゆるい学園コントをスタート。そこからの名古屋リスペクトソング「NAGOYA'N'イングリッシュ」へのくだりでは、おっさん設定なのにダンスがキレッキレな天規や、スケバン姿がかなりラブリーな拓也、「おみゃーのことが、でら好きだがや!」とキザにキメる頼我といった濃いキャラのオンパレードに会場が爆発的に盛り上がり、まさに祭nine.の独擅場といえる空気感が漂っていた。
祭りはまだまだ終わらない。『musicるTV』(テレビ朝日系)の企画「トップライナーをさがせ!」で、“新しい時代を歩き始めるみなさんを熱く応援する”というコンセプトのもと制作された新曲「ゴールデンジパングソウル」をここで初披露。和楽器バンドの神永大輔(尺八)が参加するなど、祭nine.らしい和の要素を盛り込んだ元気印の同曲では、彼らのお家芸であるアクロバットが再び炸裂!〈今日も今日とて生きててよかった〉という頼我のセリフなど、この日の空気も相まって感動的に響くような佳曲に仕上がっていた。
「令和元年1日目が僕らのステージで始まったということで、これからは祭nine.の時代なので。みなさん、ついてきてくれますか?」(統威)、「令和の僕らはみなさんをつれて、もっともっと上に行きたい。一人でもたくさんの方と最高の景色を見たいと思っています」(寿希也)という年下組のコメントに、「言いたいこと全部言われた……」(頼我)、「おっきくなったなぁ」(天規)とボヤく年上組の様子も笑いを誘う。ラストナンバーはファミリー全員とのコラボで披露した、ボイメンの名曲「Chance for Change」。ボイメン小林が祭nine.の面々をハグして回ったり、祭nine.とBMKが一人ずつハイタッチを交わしたりと、最後までステージには温かな空気が流れていた。
この日を振り返ると、ボイメン譲りのエンタメスピリットを持ちつつもダンスやアクロバット、殺陣などのパフォーマンス面に重点を置いた見せ方に、彼らの独自性が開花しつつあることを感じた。「祭nine.の夢はてっぺんをつかむこと」(頼我)と語っていた彼らは、新時代の令和でどんな活躍を見せてくれるのだろうか。
※高崎寿希也の「高」は「ハシゴ高」が正式表記。
■古知屋ジュン
沖縄県出身。歌って踊るアーティストをリスペクトするライター/編集者。『ヘドバン』編集を経て、『月刊ローチケHMV』『エキサイトBit』などで音楽/舞台/アートなど幅広い分野について執筆中。
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