あいみょん、山本彩、家入レオ、藍井エイル、カネコアヤノ……女性アーティストの言葉から見える今

藍井エイル『FRAGMENT』(通常盤)

 前作『D'AZURD』から約3年ぶり、通算4作目となる藍井エイルのオリジナルアルバム『FRAGMENT』。活動休止期間中に感じたことを歌詞に込めたという「約束」から始まる本作の最大の聴きどころは、藍井エイルという女性の生き方、人生観がリアルに刻まれていることだろう。心と体がバラバラになり、どうしても自己嫌悪に苛まれてしまう思春期をポップに描いた「グローアップ」、ネガティブな思いに絡め取られていた時期を越え、“本当の強さ”を求めて前に進み始める意思を綴った「FROATIN’」、そして、〈日々のカケラが 僕を作ってく/そしてハッハッハって笑えたなら/ピースフル!〉というフレーズが響く「フラグメント」。憂鬱な季節が過ぎ、ポジティブな気分へと突き進もうとする彼女の現在地をダイレクトに実感できる作品である。

藍井エイル 『約束』Music Video(YouTube Edit)

カネコアヤ『愛のままを/セゾン』

 CDショップ大賞2019入賞作品に選出されたアルバム『祝祭』によって、芸術性と大衆性を兼ね備えたシンガーソングライターとしての評価をさらに高めたカネコアヤノの両A面シングル『愛のままを / セゾン』。感情の揺れと重なるようなバンドグルーヴとともに「できるだけ 愛のままを返すね/胸の奥の燃える想いを〉と伸びやかに歌い上げる「愛のまま」、フォーク、ロック、レゲエが自然に絡み合あうサウンドのなかで、ミモザが揺れる季節と不安定で愛らしい愛の形を描いた「セゾン」。この2曲を聴けば、心地よい親しみやすさとエッジーな独創性が不思議なバランスで共存する彼女のソングライティングが新たなフェーズに入りつつあることがわかるだろう。ポーンと気持ちよく空気を震わせる自然体のボーカルも最高だ。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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