King Gnu、Cö shu Nie、Ivy to Fraudulent Game……“白と黒”で魅せるバンドの新作MV
King Gnu「白日」
冒頭にも触れたKing Gnuの最新曲「白日」のMV。演奏するメンバーの姿を淡々と映し出したその映像は、「Slumberland」をはじめとする今までのKing GnuのMVと比べると随分とシンプルに思える。
中でも印象的なのが、ワンカット目の白い背景に佇む、白い衣装の井口理(Vo/Key)の横顔だ。一目見て、その狂おしい歌声を耳にした瞬間、“白”のイメージがリスナーの脳裏を支配するだろう。
井口の姿は、〈真っ白に全てさよなら/降りしきる雪よ/全てを包み込んでくれ〉といった歌詞の“雪”のイメージ、そして“白日”というタイトルのイメージを想起させる装置としての役割を担っている。2番サビの後の、身体を反らせるようにしてロングトーンを聴かせる姿は、まるで祈りのようにも見えるほどだ。
MVを手がけるPERIMETRONは、楽曲の世界観をより的確に表現することを徹底し続けてきた。極彩色のイメージが強い映像ももちろんその表現を徹底した結果であり、「白日」もまた同様である。楽曲のメッセージをより的確に表現するために、今回は“白黒”という色調が最も適切だったのだろう。
そのほかのMVの映像も同様に、ミュージシャンの持つ確固たる世界観を的確に汲み取り、楽曲やミュージシャン自身の魅力を最大限に引き出すために選び抜かれたモチーフや色調が印象的な、美しい映像ばかりである。
バンドの楽曲に通底する世界観を伝えるために、MVはとても大きな役割を担っている。動画が音楽と出会うきっかけとして大きな存在感を放つ昨今、その役割はより大きなものになっていることだろう。バンドならではの物語がぎゅっと詰め込まれたMVに、今一度改めて注目し直してみてはいかがだろうか。
■五十嵐文章(いがらし ふみあき)
音楽ライター。主に邦楽ロックについて関心が強く、「rockinon. com」「UtaTen」などの音楽情報メディアにレビュー/ライブレポート/コラムなどを掲載。noteにて個人の趣味全開のエッセイなども執筆中。ジャニーズでは嵐が好き。
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