PassCode『CLARITY』は想像を超える力作だ ボーダーレスな新アルバムに至るまでの足跡を辿る

 PassCodeが4月3日、1年8カ月ぶりとなるオリジナルニューアルバム『CLARITY』をリリースする。前作にあたるメジャー1stアルバム『ZENITH』(2017年8月発売)以降、特に2018年に入ってからの彼女たちの飛躍は目覚ましいものがあった。だからこそ、このアルバムを熱望していたというリスナーは決して少なくないはずだ。

 実際に想像以上の力作に仕上がった『CLARITY』。アイドルやロック、あるいはラウドロックなどさまざまなカテゴライズが存在する現在の音楽シーンにおいて、ここまでボーダーレスで幅広い層にアピールする意欲作の魅力に触れる前に、改めて前作リリース以降の彼女たちの足跡を振り返ってみたい。

 オリコン週間ランキングで20位まで上昇し、日本や台湾、タイ、香港でのiTunesロックアルバムチャートにて1位を獲得した『ZENITH』。このアルバムを引っさげ、PassCodeは2017年11月より全国12都市16公演におよぶバンドセットツアー『ZENITH TOUR 2017』を開催し、全公演ソールドアウトを果たす。そして2018年に入ると、インディーズ時代の楽曲を新たにスタジオレコーディングしたアルバム『Locus』を2月に発表。『ZENITH』で示した現在進行形のサウンドと初期の彼女たちが持っていた要素がミックスされたスタイルは、『ZENITH』とはまた異なる魅力を放つもので、このアルバムもオリコン週間ランキングで最高15位を記録する。また、4月には日本で初開催となった『Vans Warped Tour Japan 2018 Presented by XFLAG』にも参加し、熱演を繰り広げた。

 さらに5月にはメジャー3rdシングル『Ray』をリリース。表題曲の「Ray」ではこれまでのヘビーでラウドなスタイルは維持しつつも、疾走感のあるストレートなギターロックテイストが取り入れられ、グループが新たなフェーズに突入したことが伺える。それまでのPassCodeとは異なる個性が発揮され同作はオリコンデイリーランキング7位、週間ランキングで16位を獲得した。

PassCode - Ray

 同年夏には2年連続となる『SUMMER SONIC』への出演を筆頭に、『AMBITIOUS TOHOKU FES 2018』や『マグロック&フジソニック2018』などの大型フェスに出演。そして9月には初の両A面シングル『Tonight / Taking you out』をドロップし、オリコン週間ランキングで自己最高の12位を記録した。突き抜けるような疾走感と美しいピアノの音色&メロディが絡み合う「Tonight」と奇想天外で複雑怪奇な展開を繰り広げる「Taking you out」、どちらも“実にPassCodeらしい”という言葉には収まりきれないほどの成長が感じられ、グループが短期間で急速な進化&変化を遂げたことが伺える。

PassCode - Tonight

PassCode - Taking you out

 10月にはイギリス<JPU Records>からアメリカ、ヨーロッパ、カナダでの海外デビュー盤『Ex Libris PassCode』を発表。これに先駆け、9月からは台湾や韓国での公演も含む全20公演におよぶバンドセットツアー『Taking you out TONIGHT! Tour 2018』を行い、ツアーファイナルとなる12月22日のZepp DiverCity Tokyoはソールドアウトとなる大盛況ぶりを見せた(特にこのライブの模様は3月13日に発売されたBlu-ray&DVD『PassCode Taking you out TONIGHT! Tour 2018 Final at Zepp DiverCity Tokyo』にて確認できるので、その白熱のパフォーマンスをぜひニューアルバムとあわせてチェックしてもらいたい)。

 このような大躍進が続いた2018年を経てのニューアルバム『CLARITY』なのだから、そりゃあ期待しないほうが嘘になる。事実、本作はその期待を軽く上回るほどの内容なのだから……ここからは新作がいかに魅力的かについて記していく。

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