DA PUMP、西川貴教、石崎ひゅーい、細野晴臣、TK……新たなフェーズに入ったアーティストの新作

細野晴臣『HOCHONO HOUSE』

 1973年にリリースされたソロデビュー作『HOSONO HOUSE』の楽曲を自らリアレンジ、再レコーディングした細野晴臣の新作『HOCHONO HOUSE』。演奏、歌唱、エンジニアリングもすべて自身の手で行い、10年代以降に起きた世界的な音響の変革ともリンクした、独創的かつ革新的なサウンドが実現している。打ち込みをベースにした楽曲を中心に、アコースティックな弾き語りから1970年代の貴重なライブ音源、「CHOO CHOO ガタゴト・アメリカ編」「僕は一寸・夏編」など歌詞を変えたバージョンも収められ、まさに聴きどころ満載。さらに深みを増したボーカルも絶品だ。エレクトロへの回帰という文脈で捉えると、YELLOW MAGIC ORCHESTRA(YMO)散開後の最初のソロアルバム『S・F・X』(1984年)とのつながりも見えてくる。

TK from 凛として時雨『P.S. RED I』(通常盤)

 映画『スパイダーマン:スパイダーバース』日本語吹替版主題歌に起用されたTK from 凛として時雨の新シングル表題曲「P.S. RED I」。ファルセットを効果的に活かした鋭くて繊細なボーカル、緻密に積み上げられたトラックメイク、シャープな手触りのギターサウンド、起伏に富んだメロディラインなど、TK from 凛として時雨の個性を決定づけるファクターが刺激的なバランスで融合されたナンバー。エキゾチックなリズム、クラシカルな要素を取り入れた中間のパートを含め、構築美とダイナミズムを拮抗させる彼のスタイルは、作品を重ねるごとに確実に進化しているようだ。カップリングの「moving on」にはゲストボーカルとしてSalyuが参加している。

TK from 凛として時雨 『P.S. RED I』Teaser Movie / 映画「スパイダーマン:スパイダーバース」日本語吹替版主題歌

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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