『デート・ア・ライブ』特別対談

sweet ARMS×坂部剛『デート・ア・ライブ』音楽で描く絆の物語「士道と精霊の距離が近づいてる」

「バラバラでも4人集まるとsweet ARMSの声になる」

甘言誘惑Receptor / sweet ARMS

――では、同じく坂部さんがシリーズを通して担当されている劇伴ではどんな工夫をしているのでしょう?

坂部:『デート・ア・ライブ』は色々な要素を持っている作品なので、劇伴でも色々な曲を用意する必要があって、そこが大きな特徴かもしれません。でも同時に、それをすべて『デート・ア・ライブ』の曲にしなければいけないんです。

――劇伴では、コミカルなシーンとシリアスなシーンの音楽の振り幅が印象的です。

坂部:そうですね。そこで、メロディにある程度の統一感や関連性を持たせて、曲調やアレンジで差を出していくような曲も用意しています。あとは、精霊という神秘的な存在の魅力を伝えるために、「声を使おう」ということも考えました。やっぱり、『デート・ア・ライブ』は、女の子が精霊という神秘的な力を持っている存在だということが、すごくいいと思うんです。それがあるからこそ、色々なギャップが活きてくると思うので、劇中の音楽も、そうしたことを意識しています。

――キャラごとの音楽の差別化は、どんな風に考えているんですか?

坂部:たとえば十香の場合は、ルネサンスの時代っぽい雰囲気で声を入れてもらって、それをもとに楽曲を作っていきました。そして反転体(精霊が絶望に押しつぶされて変質した形態)のときは、そのメロディが男性のひずんだ声になっています。四糸乃は、最初に出てきたのが神社だったので、その印象がすごくあって、ノスタルジックな雰囲気に仕上げました。(八舞)耶倶矢と(八舞)夕弦は、ケルトっぽい雰囲気を意識していますね。(時崎)狂三の曲は、アコーディオンを入れてゴシックっぽい、少し怪しい雰囲気にしています。

――ルネサンス風の要素や、ケルト音楽の要素を加えることで、神話的/神秘的な雰囲気を表現しているんですね。一方で、坂部さんが思うsweet ARMSの魅力とは?

坂部:sweet ARMSのみなさんは、4人とも声質が全然違うんです。「デート・ア・ライブ(Bossa Nova Arrange)」(2013年の『デート・ア・ライブ』シングル版のカップリングなどで収録)でボサノヴァアレンジをしたときなどは、歌声のパラデータをいただいて、それを聴きながらアレンジをしたんですけど、そうすると、みなさん歌声自体は結構バラバラなんですよ。でも、4人で集まると、sweet ARMSの声になる。それは新曲の「I swear」でも変わっていなくて、すごく安心しました。

――sweet ARMSの楽曲の場合、メンバーのみなさんの歌声が合わさったときに倍音のような効果が生まれていて、聴いていて心地いいですよね。

富樫:確かに、レコーディングで順番に声を入れていく段階では、自分たちでも「合わさったらどうなるの?」というくらい歌声が違うんです。でも、ひとつになったものを聴くと、私たち自身でもsweet ARMSらしさを感じる部分があって、そこは不思議に思います。

味里:sweet ARMSの楽曲では、「静と動」を意識してほしい、というディレクションを受けることも多いです。野水さんと富樫さんは「動」の部分を担当することが多くて、私と佐土原さんは「静」の部分を担当することが多いですね。

坂部:そうやってみなさんの声が合わさったときに、ちょうどいいバランスになるところが、sweet ARMSの魅力的だと思います。

――そしてその魅力は、今回のオープニングテーマ「I swear」でも変わっていない、ということですね。みなさんは『デート・ア・ライブⅢ』には、どんな魅力を感じていますか?

富樫:待ち望んでいた3期ですけど、(キャストとして)いざ収録現場に出てみると、みなさんいい意味で全然変わっていないのが印象的でした。作品としても2期からの続きになっていますし、1話の冒頭の日常パートでも、私が声を担当している(鳶一)折紙も「みんなが求めている折紙はこうだろうな」という登場の仕方をしていて(笑)。

野水:しかも、3期では士道くんと精霊たちの関係性がより近づいているだけではなくて、“精霊たち同士の関係性”もより描かれているんですよね。(みんなで口々に)「やだー、士道くん」って言い合うようなやりとりもあって……。

――それぞれのキャラクターの魅力がより伝わってくるような雰囲気を感じました。

富樫:そうですね。みんなが待ちに待っていた新たな精霊、七罪も登場しました。

佐土原:ほっこりするシーンとシリアスなシーンとの差があって、3期もとても面白いものになっていると思います。私が演じる岡峰珠恵も出番が多くて、アフレコに行かせていただく機会も多いんですけど、現場でもメリハリがあってすごく面白いです。

富樫:みんなが仲よくなればなるほど、逆に闇の深い部分も際立ってくるので、観ていてもあっという間に終わってしまうような作品になっていると思います。

坂部:僕も、今までと比べても3期はすごく面白いと感じているんですよ。

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