NEWS、アルバム『WORLDISTA』は“楽しい”が伝播する CDだからこそできる数々の仕掛け

 「WORLDISTAの世界へ、ようこそ」というログイン完了の知らせとともに、聞こえてくるのはNEWSと長年名曲を生み出してきたヒロイズムによる「WORLDISTA」だ。サビの〈イマジナ ギミヤラ/THIS IS THE WORLDISTA〉は、これぞヒロイズムと拍手を贈りたくなる語感の良さ。

 さらに、ブックレットの歌詞を確認すると〈空想ノ世界/想像スルタビ〉と記載されている。「想像する旅」なのか、「想像する度」なのか。それをまた想像させてくれるのだ。そして、歌詞から視線をズームアウトさせると、ただの模様に見えた赤と青のラインが、サビの歌詞〈イマジナ ギミヤラ〉=「IMAGINA GIVE ME OUR LOVE」となっていたことが認識できる。

 NEWSの楽曲は、ヒロイズムを筆頭に長年共に歩んできたクリエイターたちによる作品が多い。きっとそれらに触れてきたファンなら、今回のアルバムを聞き進めるうちに「◯◯さんっぽい」と反応する場面もあったのではないか。きっと、それもNEWSとファンへの信頼関係があるからこそ、安心してクリエイターたちが個性を出すことができたのだと思う。「WORLDISTA」というコンセプトに向かって、それぞれがのびのびと才能を開花させ、集結させていく作業。考えるだけで、すごく大変で、めちゃくちゃ楽しいに決まっている。

 「オリエンテーション-INTER-」のあと、案内されたのは“スペースレース”。エンジン音と共に疾走感あふれる「DEAD END」が聞こえてくる流れは、舞台の場面転換のように鮮やか。そして、スリルがあるから燃えると歌う「CASINO DRIVE」を聞いているうちに、“便利で安全を求めながら、それだけじゃつまらないと思う、私たちは本当に矛盾した生き物だ”と改めて考えさせられたり、エレクトリックなテイストでNEWSの歌声も音素材として美しく調理した「インビジブル ダンジョン」では、“見えない敵とはデジタル社会の匿名性だけではなく、それに惑わされてしまう他ならぬ自分自身の弱さなのでは”と、ハッとさせられたりする。

 音楽を聞いているだけ。それだけのはずなのに、気づけば様々な情景を思い浮かべているのだ。バーチャルなレース場だったり、都会の高速道路だったり、SNSを検索している誰かだったり、NEWSがたどってきた歩みだったり……。それこそが『WORLDISTA』体験なのだろう。

 「第一チェックポイント-INTER-」では、大勢の観客が沸き立つスタジアムに誘われ「SPIRIT」「BLUE」とアンセムソングが響き渡る。そして、意識は広大なピッチから、再び個へと向かい孤高の闘志を歌う「FIGHTERS.COM」へ。気づけば、“この曲がコンサートで披露されるときには……”と、またもや新たな風景が、閉じたまぶたの奥に広がっていく。

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