黒崎真音はアニソンを“歌い継ぐ”存在に 自身の経験を集約した赤坂ACTシアター公演を観て

黒崎真音はアニソンを“歌い継ぐ”存在に

 本編終盤には、昨年の活動を総括する一幕も。ここでは「色々な経験が新しく実を結んだような1年だった」という言葉でその成長を締めくくった。彼女は昨年、2枚のシングルリリースのほか、10月には映画『BLOOD-CLUB DOLLS 1』にメインキャストとして出演。2016年上演の舞台『英雄伝説 閃の軌跡』に引き続き、音楽活動のみならず女優としても表現力に磨きを掛けた。

 その成果を存分に感じられたのが、本編中盤の“演技”を交えたステージだ。8曲目「“lily”」の歌唱中、ステージ前方にうずくまった黒崎。〈ねぇ奈落の涯まで見せてよ〉と、擦り切れるような想いをそのままに歌い上げる。そんな彼女を救い出すかのように、純白のドレスを纏った女性ダンサーが姿を見せる。黒崎に手を差し伸べたところで、心温まるバラード「種」を披露した。「Just believe.」からは、それぞれ男女1名ずつのダンサーが登場。ここからは黒崎が歌の“伝え手”として、彼らが結ばれる様子を温かく見守る。一連の群像劇とも思えるストーリー構成は、このブロックでの披露楽曲とも親和性が非常に高く、彼女の言葉を借りれば「色々な経験が新しく実を結んだ」好例といえる。

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 本編終盤は、前述した「Gravitation」などのアッパーチューンで駆け抜ける。アンコールでは、同楽曲や『とある魔術の禁書目録』シリーズについての想いが語られた。

「『とある魔術の禁書目録』は、8年の時間が空いて新シリーズを放送していますけど、すごく久しぶりな感じがしないんですよ。それが何故かというと「ずっと歌ってたからだなぁ……」と。日本だけじゃなくて、海外でも『とある』の楽曲は必ず歌ってきたので、8年の歳月を実はそんなに感じなかったりします」

 彼女のアーティスト性はおそらく、この言葉に帰結されるのだろう。黒崎真音は、アニソンを“歌い継ぐ”ほどに、その存在感をますます発揮する。また、キャリアを重ねていくことで、歌声や歌詞に込められる熱量が高くなるのはもちろん、女優業にも代表されるように表現の幅も広がることだろう。そのような努力や経験をライブで実を結ぶのもまた、彼女がアニソンを愛し、ファンに愛される存在だからなのだろう。

 彼女は3月6日に14thシングル『ROAR』、3月13日にはこの日に初披露された『グリザイア:ファントムトリガー THE ANIMATION』オープニングテーマ収録シングル『幻想の輪舞』 をリリース。これらの作品もまた、長きにわたり愛され続けるに違いない。今後もアニソンシンガーとして一層の活躍を見せてくれるだろう黒崎真音。彼女にとって、2019年がさらなる飛躍の年になることを心より願いたい。

(取材・文=青木皓太/写真=中村ユタカ)

■関連リンク
黒崎真音 オフィシャルサイト
黒崎真音 オフィシャルTwitter

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