SCREEN mode結成以前にも、勇-YOU-は声優として数多くの作品でキャラソンを歌い、雅友も多くのアーティストに楽曲提供を行ってきたが、SCREEN mode結成以降は、それらの楽曲をライブで歌うことはなかった。それはSCREEN modeの方向性が固まるまでは、セルフカバーはやらないと決めていたから。しかし今日は5周年の記念ライブ。この日だけはと、それぞれにゆかりのあるカバーを披露してくれた。勇-YOU-は、本人が声優として新堂カイト役で出演したゲーム『夢色キャスト』から、「最後のロンリークリスマス」を披露した。「作品に敬意を表してセリフもそのまま歌います」と勇-YOU-。ドラマティックなナンバーに観客はうっとり。最後にチュッとキスをするふりをすると、「キャー！」と大歓声が会場を埋め尽くした。

　後半は「GIFTED」を始め、「極限Dreamer」や「アンビバレンス」など人気曲を次々と披露。勇-YOU-もモニタに足をかけて、観客を煽るように前のめりになって、パワフルに歌う。「Naked Dive」では、観客がクラップしたり「オイオイ！」とコールをかけたりジャンプしたり、会場が一体になった。本編ラストを飾ったのは、文化放送リオデジャネイロ情報テーマ曲にもなった「IMPACT」。歌詞の〈まだ続いていくんだろう〉という言葉が、まだ続いていくだろうSCREEN modeの道の険しさを意味しているようでグッと胸に響く。「ウォーウォー」という歌声が会場に広がり、観客は手拍子しながら声をあげ、会場が一つになった。

「SCREEN modeを始めたときは、5周年はずっと先のことだと思っていました。この５年の中で結成当初からのスタッフが立て続けに抜けてしまった時期があって、このまま活動を続けられるのか正直不安になったりしたこともあったけど、Lantisさんがこれからも続けようと言ってくれて、勇-YOU-の事務所の賢プロダクションさんも、たびたび協力してくれて、ここまで続けることができました。本当に感謝しています。本当のSCREEN modeとは何か、アーティストとしてどうあるべきか、すごく考えた。最近やっと、これがSCREEN modeかな？　と、見えてきた実感があります。最初はお見合いのように出会った相棒ですけど、今隣にいるのがこいつで良かった！」（太田雅友）

「5歳から音楽が好きで、音楽でデビューするのが夢でした。あきらめようと思ったこともあったけど、粘って粘って30歳のときに、雅友さんやLantisさん、スターズ（ファンの呼称）のみんなと出会えて、諦めなければ夢は叶うと分かった。バカ正直でも、前に進もうとしている人の背中を押していきたい。5年じゃ足りない。もっと背中を押し続けたい、新しいストーリーを作り続けたい！」（勇-YOU-）

　アンコールのラストには最新シングル『GIFTED』のカップリング曲「Make New STORY! 」を披露。〈振り返る暇はない〉〈お楽しみはここから〉といった歌詞が、この日この場所に実にふさわしい楽曲だ。やはりしんみりと終わるのは、SCREEN modeには似合わない。バカ正直に明日だけ観ているのが、きっと彼ららしいと思う。タオルを回して汗を流して声を出した先に、SCREEN modeの新しいストーリーが見えてきた。

■榑林史章
「THE BEST☆HIT」の編集を経て音楽ライターに。オールジャンルに対応し、これまでにインタビューした本数は、延べ4,000本以上。日本工学院専門学校ミュージックカレッジで講師も務めている。