タッキー&翼、ふたりの“物語”は新章へ 一夜限りの復活果たすカウコンに寄せて

 そして、その後輩たちの頑張りに「公演期間中はご飯代も大変だと思うから」と、週1回の自由参加のご飯会で美味しいお店に連れて行っていた滝沢。そして、自宅に後輩を招いて手料理を振る舞うことが好きな今井。アプローチ方法は異なるものの、文字通りカンパニーを“食わせていく”という大黒柱感、そして彼らの成長が自分自身の成長だと捉える愛情の深さが、ふたりの共通点だ。

 タッキー&翼として披露した楽曲も、「夢物語」「Venus」「Ho! サマー」など彼らを中心に、みんなで踊って楽しめるものが多い。事務所に入ったばかりのJr.も、ジャニーズを好きになったばかりのファンも一緒に楽しめる。少しでも縁があって知り合った人ならば、まとめて歓迎する、そんな包容力がタッキー&翼にはあった。

 コメディタッチな振り付けが楽しい「ビバビバモーレ」「山手線内回り〜愛の迷路〜」「山手線外回り feat.GUSSAN」なども、人を楽しませることが好きなふたりらしい楽曲……と、名曲をあげればキリがないが、やはりラストステージはキレキレのダンスが楽しめる「REAL DX」をみんなで歌って、大団円を迎えてほしいというのは、多くのファンが願うところではないだろうか。

 12月26日には、そんな彼らが16年間にわたって歌ってきた全68曲を収録したタキツバベストアルバム『Thanks Two you』も発売される。初回限定盤のBlue-ray/DVDにはMV26曲と21曲分のMVオフショット映像も収められているという。大晦日にどの曲が流れても、一緒に盛り上がれるように振り返るのはもちろん、2019年以降タッキー&翼を恋しく思うファンの心に光を当ててくれることだろう。

 表舞台を去り、ジャニーズのプロデューサーに転身する滝沢。そして、体調回復に向けて本格的に休養に入る今井。それぞれの道の先に、どんな未来が待っているのかは誰にもわからない。〈誰も知らない扉叩け/美しく咲かせましょう/恋の花〉と凛々しく歌うタッキー&翼の有終の美を見届けながら、ふたりの“物語”の新章が夢のある、輝かしいものとなることを願ってやまない。

(文=佐藤結衣)

関連記事