『FNS歌謡祭』に声優の宮野真守、上坂すみれが初出演 アーティストとしての魅力を解説
世界改変力を備えた絶対的なヒロイン・上坂すみれ
上坂すみれは、一言では語りきれないほど複雑な模様を見せるアーティストである。一面を理解できたかと思った瞬間、また違う面が見え、また違う面へ変化すると言ったイメージだ。捉えどころがないと言うよりも、多様な女性と表現する方が正確かもしれない。ロシアを愛しすぎて、上智大学外国語学部ロシア語学科を卒業したと言うだけでなく、昭和歌謡、戦車、ロリータ、メタルなどのサブカルチャーに耽溺してきたために培われた独自の感性とキャラクターが多くのファンを魅了。今尚も「同志」は拡大し続ける。何よりもその魅力が爆発するのがライブである。上記に挙げた要素全てが混然一体となった世界が「上坂すみれ」というアーティスト一人によって成立するという奇跡に関しては、どう説明していいのか、この原稿を書いている今も頭をかかえている。あくまで仮説でしかないが、普通なら一緒にし難い要素を、彼女は全て一度内面に取り込んで再構築し、外界へと具現化できる能力を有しているのかもしれない。世界改変力を備えた絶対的なヒロインのステージにいつもいつも魅了され、それを表現しようにも筆舌に難く、頭を抱えるということを繰り返している。
本稿で挙げた以外でも、確かな実力を持った声優アーティストは年々増加の一途をたどっている。声優という職業が過去に比べて人気になり、パイが増えた分才能が集まったからという考えもできるかもしれないが、パイが増えた分競争率も高くなるため、実力が伴っていることは必須だ。ましてや地上波音楽番組の壁は今尚も高いだろう。今回の出演以降、より多くの声優アーティストに注目と好機が集まることを願ってやまない。
(文=石川雅文)