5th Single『愛しか武器がない』インタビュー
ラストアイドル2期生 橋本桃呼が竹中夏海に聞く、“私をバトルで選んだ理由”
決め手になったのはヒリヒリ感
ーー「愛しか武器がない」という曲とダンスがあらかじめ決まっているという部分も、判断には影響しましたか?
竹中:はい。それは、すごくありました。「愛しか武器がない」は最初にWセンターのふたりが拳を合わせるポーズから始まるのですが、振り付けのCRE8BOYさんからもお話を聞いていて。あのダンスは、秋元(康)先生から具体的な歌詞がくる前にざっくりとしたイメージとして、「ダンスのなかでバトルしているイメージが見えるといい」というお題があったそうです。それで言うと、バランスとしては水野さんと篠原さんがいいとは思いましたが、ピリッとした緊張感はあまりない気がしていたんですね。もっといろんなバトルを経た上で、Wセンターの2人にはもっとヒリヒリとしたものがあったほうがいい、と。でも篠原さんと水野さんの間には、最初から一緒にやってきた絶対的な信頼関係や温かさが感じられたんです。だから「愛しか武器がない」という曲に限っては、篠原さんと水野さんだと最初に想定していた楽曲の景色より、優しい印象になるのかなと思っていました。
ーー竹中さんは番組でも、「橋本桃呼という女の子がセンターに立つグループを見てみたいと思った。これから先、目を引くパフォーマンスができるのは彼女のほうだと思った」と、ジャッジについてコメントしていましたね。
竹中:はい。実際に橋本さんが残ったことで、曲が求めていたヒリヒリ感がすごく出たなと思いました。MVを見させてもらって、拳を合わせているところからの1モーション目の橋本さんの動きを見た時は、鳥肌が立ちましたもん。「これが見たかったんだ!」って。「これだ!」と思いました。
橋本:拳を合わせるところは、曲が始まる前はめっちゃほんわかしてるんですけど、始まったらすごいギンギンに睨み合っています。
竹中:そうそう。すごく睨み合ってるよね。篠原さんのときは、睨み合ってるようには見えなくて、どっちかと言うとバディ(相棒)のような感じが強かったんですよ。
橋本:そこを言ってもらえたのは、すごくうれしいです。ジャッジされた時は率直にうれしかったんですけど、隣で他の暫定メンバーが泣いているのを見て、「本当にこれで良かったのかな?」って、すごい思って、私もめっちゃ泣いたんです。でも今こうして直接お話を聞けたのは、すごい良かったです。自信はあったかどうかは分からないけど、メラメラ感は出ていたと思うので、きっとそこが良かったんだなって。
竹中:気合がすごく入ってたよね。それに、2期生は1期生の「バンドワゴン」とは違ったタイプで、衣装も黒だし。もし「バンドワゴン」みたいな曲で行くのだったとしたら、メンバー選びの基準も変わったと思います。「愛しか武器がない」という曲に関しては、足りなかったパズルのピースが橋本さんによって埋まった感じがします。
ーーでも他の暫定メンバーが隣で泣いていたのは、複雑な気持ちになりましたね。
橋本:勝ったほうも負けたほうもすごく複雑な気持ちで、そこから仲間に入っていくのは、すごく勇気が入りました。Wセンターの水野さんとは、合宿では会えなくて、初めてのレッスンの時に「橋本桃呼です。よろしくお願いします」ってあいさつをして、でも変な感じはなかったし、他のメンバーもすごく温かく迎え入れてくれて。ほのちゃん(町田穂花)がすぐにしゃべりかけてくれたりして、そこはすごく助かったし安心しましたね。
竹中:私自身も、確かにあの出来上がった空気感の中に橋本さんを入らせるのは、すごく酷だなって思いました。選んだのは正直な気持ちだけど、精神的な支柱であった篠原さんを失った状態で、グループに入ってもらうことは、橋本さんにとって幸せだったのかな? って、私も悶々と考えてしまって。オンエアまで、けっこう時間が空いたんだよね?
橋本:そうです。
竹中:実際に合宿オーディションが行われてからオンエアまでに、1カ月くらい空いていたんです。だからその間は、どういう風にメンバーに溶け込んでいったのか、合宿以降のオンエアで確認するしかできなくて。大丈夫かな〜あの中に入るのは大変だろうな〜と思いながらも、「でも負けるなよ!」みたいな気持ちでオンエアを楽しみにしていたんですね。その上で完成形のMVを見た時は、その1モーション目でピリッとしてて。振り付けを初めて見た時に感じた、まだ見ぬ風景だけど、きっとこういう映像を浮かべて振付師さんが作ったんだろうという光景が、すごく具現化されていたと思った。だから、すごく感動したんです。
ーーラストバトルでは、今度は橋本さんがバトルを挑まれたわけですけど、挑まれたことはどんな風に受け止めましたか?
橋本:挑戦者だった時よりも、暫定メンバーとしてパフォーマンスするほうがすごく緊張しました。それはみんなも言っていることです。挑戦者は負けても仕方がないと諦めがつくけど、暫定だと負けるとすごく悔しいし。だからめちゃめちゃ緊張したし、パフォーマンス前に泣いちゃったし。
ーーラストバトル(9月30日放送、3rdシーズン#21)では得意のハロプロ曲を封印して、指原莉乃さんの「それでも好きだよ」を選んだのはどうしてだったんですか?
橋本:あれは「明日テンキになあれ」を歌った時のネットの反応が、「怖い」とか「性格が悪そう」というものが多くて、それで「ちょっとやりすぎちゃったかな」って思って(笑)。
竹中:自重したんだ(笑)。
橋本:そうなんです。「怖い」って言われないように、かわいい曲を選んだんです。もともと指原さんは憧れの存在でもありますし。
竹中:私は、ラストバトルはオンエアで見ていましたけど、暫定メンバーとして残って良かったなってすごく思いました。これって要は、最終オーディションを永遠にやってるようなものなんです。暫定とは言え楽曲も衣装も与えられるので、さも正式のつもりになっちゃうけど、あくまでも暫定で、最後まで正式メンバーではないんです。だからこそ、選ばれた時は「やっと勝ち取った場所」という実感が、本人たちには湧くのかなって思います。だから橋本さんも挑戦される側になってバトルし勝つことで、初めて自信が得られると思ったし。「ここにいて良いんだ」とメンバーが実感できるのが、この番組の醍醐味ですよね。
橋本:挑戦者の時には感じられない緊張感があって、自分でも成長が実感できました。それにラストバトルという重要なバトルだったから、そこで勝つことができたのは、自分にとってすごく自信になりましたね。正式メンバーになって、やっとセンターという実感が持てた感じです。暫定の時は、いまひとつセンターとしての実感がなくて。暫定から正式になった瞬間に、「自分はセンターだ!」っていうものが湧きました。