ナユタン星人、はるまきごはん、ピノキオピー……自らの意志が強く表れたMVを生み出すボカロP
ピノキオピー
2009年2月に「ハナウタ」でボカロデビューしたピノキオピー。2011年1月に公開された「腐れ外道とチョコレゐト」は彼の代表作である(11月22日現在、ニコニコ動画では240万回再生)。初音ミクへの思いを歌った2017年8月公開の「君が生きてなくてよかった」や、ボカロはダサいけど楽しい、と歌った同年12月公開の「ボカロはダサい」など、ボカロの根本、さらには人間をテーマとしているのが彼の楽曲の特徴だろう。それらに一貫しているのは、それぞれの価値観の多様性を容認し、最終的にはポジティブな思考へと収斂させるところだ。そんな歌詞からは、自分の気持ちには正直でいたいという彼の心の在り方が表れている。MVに度々登場するピノキオピー作の“アイマイナちゃん”、”どうしてちゃん”の愛称で親しまれるキャラクターにしても、初音ミクを描くことが多いことにしても、彼が初音ミクへの愛が強いボカロPだということを象徴づけているといえる。そんな彼は、すでにアーティストへの楽曲提供も決まっており、祭nine.の12月5日リリースのシングル『がってんShake!』パターンD収録曲「勇者なら」では編曲を担当する。
このように、MVは音源のみでは伝えきれない思いを絵によって可視化させることで間接的に伝える役割を担っているとも言える。MVをじっくりと観ることでアーティストのさらなる魅力に気付くことができるのだ。今後も、どのような主軸で新たなMVが生み出されていくのかを心待ちにしたい。
■小町 碧音
1991年生まれ。歌い手、邦楽ロックを得意とする音楽メインのフリーライ
ター。高校生の頃から気になったアーティストのライブにはよく足を運んでます。『Real
Sound』『BASS ON TOP』『UtaTen』などに寄稿。
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