9mm Parabellum Bulletの衝撃は薄れないーー『カオスの百年』ツアー最終公演を振り返る
セトリはファンのリクエストが基に
この日のセットリストは、事前にネットで募ったファンのリクエストを基にしている。MCでは「みんなのリクエストの上位曲をセットリストに組み込みました。みんな投票ありがとう。中には不遇の曲もあって。「新しい光」が3票。「Black Market Blues」が2票。1票の曲もあったけど、1票って逆に熱いよね。隠れ下位もあって、我々のデビュー曲「Discommunication」も、何と3票でした(笑)!」と、笑いを誘った菅原。
シングル曲は意外に少なく、2013年の5thアルバム『Dawning』に収録の「The Silence」や、2010年の3rdアルバム『Revolutionary』に収録の「光の雨が降る夜に」、「キャンドルの灯を」、昨年リリースした7thアルバム『BABEL』収録曲「ホワイトアウト」など。そのアルバムに際したツアー以外ではあまり演奏されない、アルバム収録曲が多く披露され、実にコアなセットリストになった印象だ。
しかし、ライブの鉄板曲も、もちろん忘れてはいない。終盤には、「Termination」「marvelous」「Talking Machine」を立て続けに披露する神展開で、ファンを歓喜させた。轟音の中にキラリと光るキャッチーなサビメロが秀逸な「Termination」では、サビで菅原が「一緒に歌ってくれ!」と観客を先導し、観客の歌声とクラップで会場が一体になる。続く「marvelous」では、リズムに合わせて観客の「ハイ! ハイ! ハイ!」というかけ声が力強く響く。「Talking Machine」では、菅原がマラカスを振りながら演奏。滝が鳴らす印象的なギターのメロディに合わせて、「オイ! オイ!」「ワンツースリーフォー」とかけ声が上がる。中村は何度もジャンプしながら演奏し、滝は頭を激しく揺らす。かみじょうちひろ(Dr)も、手足を激しく動かして暴れるように演奏。観客も声を出しながら揺れ続け、ステージと客席の境界が感じられなくなるほどの一体感が、会場に満ちあふれた。
「来年は結成15周年。楽しいことをたくさんやります。まだ一つも言えないんだけど、一つ絶対にやろうと思っているのは、アルバムを出すこと。いつどこでとか確約はできないけど……。新しい曲をどんどん作っているので、楽しみにして待っていてください。本当に今日は、来てくれてありがとう。また何回もこうやって集まりましょう!」
近年は、AC 9mm、菅原のソロ、菅原と滝のユニット“キツネツキ”など活動は多岐にわたっているが、9mm Parabellum Bulletがバンドシーンに登場したときの衝撃は、今も何ら薄れてはいない。この日のライブは、様々な活動を吸収して、むしろパワーアップしていることを実感させるものだった。15周年に向け、次にどんな衝撃を与えてくれるのだろうか。
(取材・文=榑林史章/写真=石崎祥子)