ロックンロールシンガー、リアム・ギャラガーの今を見た 20年ぶりの日本武道館公演

 アンコールはすべてOASISの楽曲。サビの高音を含め、ほぼ原曲通りのメロディを高らかに響かせた「Supersonic」、パンキッシュな勢いで押し切った「Cigarettes&Alcohol」、どこか叙情的なムードのボーカルが印象的だった「Live Forever」、そして、大合唱が巻き起こった「Wonderwall」。曲が始まった瞬間に凄まじい歓声が沸き起こり、会場全体に大きな感動に広がる。ライブ終盤になってもまったくパワーが落ちず、むしろ凄みを増していくリアムのステージングにも圧倒された。

 客席の照明が点灯し、ここでライブは終了と思いきや、再びリアムとバンドメンバーが登場(帰りかけていた観客が慌てて戻る)。まさかのダブルアンコールで披露されたのは、「Be Here Now」。1998年の日本武道館公演のオープニングで演奏された楽曲が、20年の時を経て、再びこの場所で鳴らされる。この粋な演出には、さすがに心を掴まれてしまった。

 OASISの事実上の解散から、約9年。Beady Eyeからソロへと活動の形を変化させたリアムは、ここにきてようやく、自分自身のスタイルを掴み取ろうとしている。“ロックンロールシンガー、リアム・ギャラガー”の新たなキャリアのスタートを強く実感できる、最高のライブだったと思う。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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