3rdシングル『カウントダウン』リリースインタビュー
NormCore Fümiが語る、まふまふとの「カウントダウン」制作秘話 YouTuber ないとーとの対談も
創作の原点は“社会や大人に対するカウンター”
ーーMVは廃ビルのような場所で撮影されていて、金髪のミステリアスな女性が登場したり、これまでとはまた違った雰囲気がありますね。
Fümi:今回はシンプルに白を基調としたMVにしたかったんです。それは1stシングルと2ndシングルのMVは黒がベースだったということもありますし、まふまふさんのテーマカラーが白なので、リスペクトを込めた意味もあるんです。それと今回の曲はターニングポイントとして、サウンドもビジュアルもこれまでよりカジュアルにしたかったんですよ。曲もまふまふさんに作っていただくのであれば、良い意味で振り切ったプログレみたいなものにはならないだろうし、MVもシンプルなリリックビデオっぽくなったので、結果的に良かったのかなと思ってます。
ーーカップリング曲の「モハンカイトウ」も先日のライブで披露されてましたが、個人的にはこの曲がいままででもっともFümiさんの気持ちが表れてるんじゃないかと思ってまして。
Fümi:おっしゃる通りで、この曲では自分のありのままの気持ちをぶつけようと思って作りました。僕はカルチャーを作っていくのはティーンエイジャーだと思うし、彼らに対して”作られたもの”ではなく“ありのままのもの”を届けることで反応してもらえるのがいちばん美しいと思うんです。
そこで曲のテーマを考えたときに、自分を嘘偽りなく表現するなら、僕のクリエイティブの原点になってる“社会や大人に対してのカウンター”を書こうと思いまして。僕は若い頃に「がんばれよ」と言うのではなくて、「そういうことあるよね、わかるわかる、でもいいんじゃね?」って言ってくれるような大人に出会いたかったんですよ。自分もそういうアーティストでありたいので、その気持ちを凝縮させた曲になります。
ーー単純に「がんばろう!」と応援するのではなく、そのままの自分を肯定してあげる姿勢は、最近の若いアーティストの楽曲に増えていってる気がしますね。
Fümi:きっとみんな、いまの日本の教育システムに飽き飽きしてるんじゃないですかね(笑)。減点方式もそうですし「とりあえずやっとけ」とか。「とりあえず」が通用するのは居酒屋に入って最初のビールだけですよ(笑)。「とりあえず」で何かやっても失敗したときに何も残らないけど、もしちゃんと目的を持って「俺はこうなりたいから、こうしたらワンチャンあるかも!」と思ってバーンと体当りしたら、大失敗したとしても自分の心の中にデータとして残ると思うんです。そこに確固たる自分の理念があるのであれば、法を犯さない限りは何をやってもいいと思うし、誰とどんなことを考えようと自由だと思うので。そういう視野を広げていくことは、僕と同じ世代のアーティストが通ってきたり、いまも悩んでる道だと思います。
ーーなるほど。この曲はFümiさん自ら作詞作曲されてて、「カウントダウン」と同じく三矢さんが編曲されたサウンドも、いままでのNormCoreにはなかった要素がたくさん盛り込まれています。
Fümi:この曲に関しては「俺の好きにやらせてくれ!」ということで、誰のディレクションも受けずに制作したんです(笑)。自分一人で作った曲を三矢さんに編曲してもらうのは初めてだったんですけど、せっかく「カウントダウン」でお世話になったので飛び込んでみたら、ものすごく良い形にアレンジしていただいて。今回は自分が普段聴いてるEDMの要素を入れたかったし、リリックを大切にしたかったので、語りかけるようなフレーズも入れてますね。
ーーちなみに、最近はどんな音楽を聴かれてるんですか?
Fümi:最近はPanic! at the Discoの新作(『Pray For The Wicked』)とかですね。あとはミーハーなのでDJキャレドとジャスティン・ビーバーの新曲(「No Brainer ft. Justin Bieber, Chance the Rapper, Quavo」)をよく聴いてるんですけど、あれメチャメチャいいですよね! あのMVの完全再現を、ないとーさん(人気YouTuber「おるたなChannel」のメンバー)と一緒にやりたいと思ってるんですよ。ないとーさんにはグラサンをかけてもらって、クエイヴォの役をやってほしくて(笑)。
ーーいいですね(笑)。そういえば「モハンカイトウ」のAメロの部分は最近のR&B/ヒップホップに近いリズムアプローチですし、女性コーラスも入ってますね。
Fümi:リズムは三矢さんから出てきた要素なんですけど、女性コーラスは僕が好き勝手やりたかったことのひとつですね。正直、自分自身の声に飽きてきてるので、自分以外のコーラスを入れてみたかったんです(笑)。自分以外の人の声が入ることで深みが出ますし。
ーーFümiさん自身の歌声も、いままでより中音域や低音域を活かしたものになってます。
Fümi:それもやりたかったことなんです。僕は以前から、一人の人が歌ってるとは思えないぐらい振り切ったことをメジャーでやるのがカッコいいと思ってるんですけど、いざ現場でいつもと違う歌い方をすると「キャラが変わりすぎでしょ」とか言われたりして。でも、僕はキャラが変わることの何がいけないのか本当に理解できないんですよ。たしかに街で曲が流れることを思うと、パッと聴いただけで誰が歌ってるのかわかったほうが良いと思いますけど、もうそんな時代でもないじゃないですか。エミネムもスリム・シェイディとかの別人格がいるわけですし(笑)。
ーーその考え方は、FümiさんがNormCoreやうみくん(UMI☆KUUN)といったいろんな顔を持って活動してるところにも繋がってきますね。
Fümi:そうですね。結局、芸術では何かをやったことで減ったり失うことはないと思うんですよ。だからこれからも、そのときそのときに必要とされるいろんな要素を出して活動していけたらと思ってます。