『New Stranger』インタビュー

sora tob sakanaが明かす、『ハイスコアガール』主題歌で切り拓いた新境地

「ノスタルジーってこういうことなんだって」(風間)

ーー「発見」はサウンドプロデューサーの照井さんが「最も実験的になった」と仰っている曲ですね。

山崎:一番好きな曲です。ブツ切りな感じというか、不思議な感じで。機械的だけど、それでも懐かしさを感じさせるから、めっちゃいい曲だと思います。

風間:サカナの曲ってノスタルジーって言われるんですけど、自分としてはそこまで実感がなかったんですよ。上の世代の人なら懐かしいなって思うのは分かるけど。でもこの曲はすごくノスタルジーを感じる。ノスタルジーってこういうことなんだって、思いました。

ーー具体的にどの辺りにそれを感じましたか?

風間:この曲って夏のお祭りの話じゃないですか。ここ2年くらいお祭りに行けていないっていうのもあって、昔のお祭りの記憶がすごい蘇って来て。ノスタルジーだなって思いました。

ーーサウンド的には照井さんの本領発揮というか、硬派な印象を受けます。

山崎:神秘的で好きです。

sora tob sakana/発見(Full)

ーー先日MVも公開されましたね。手掛けたのは映像ユニット・ONIONSKIN(田村聡和、菅谷愛)で、Vampillia、neco眠る、トクマルシューゴといたアーティストのMVを制作されています。

山崎:私たち含めて人は出ていなくて、アニメーションで作られています。点とか線とかブロックとか。イメージっぽい感じですね。

風間:音に合わせて図形が動いてたり、点が音を表現してたり、抽象的な感じで綺麗です。音楽だけ聴くのもいいけど、MVで観てみるとまた違った面白さがあります。

ーーどちらのMV監督もずっとオサカナさんのアートディレクターを務めていらっしゃる方からの提案からだそうで。オサカナとして、映像に関してもテーマの一貫性が感じられるのが良いと思いました。ではもう1曲の「silver」はどういう曲ですか?

寺口:私たちって見た目的にも子どもっぽく見られるんですけど、この曲は大人っぽくてカッコイイ感じです。レコーディングの時も「大人っぽく歌って」って言われました。

風間:音がひとつひとつとってもオシャレで、聴いててオシャレな気持ちになれます。間奏の部分が特にカッコイイ。

ーーこの曲は「普段よりも音数を抑えて、メンバーの成長した歌唱力や表現力を見せる」ことを目指したと、照井さんは仰ってますね。

山崎:そうなってたら嬉しいですね。成長してるかどうかは分からないけど、安定はできるようになってきた気がします。

風間:レコーディングを重ねるうちに、前回は歌えなかった音域の声が出るようになったので、それは成長かなと思います。嬉しいです。

「(『発見』は)4人全員のボーカルが急に力強くなるのがいい」(神﨑)

ーー前回のインタビューでレッスンが多いという話を聞きましたが、ライブも含めてそうしたことを4年続けて来たことが、徐々に実を結び始めてるのかもしれませんね。例えばメンバーが急に1人ライブに出れなくなった時にすぐに対応できるっていうのも、そんな積み重ねがあるからなのかなと思います。

山崎:そういう時は焦るんですけど、「まあなんとかなるよね」ってなる。でもそんな焦りが結構私は好きだったりするので。最終的には楽しんでます。

風間:スリルがあるみたいな感じ。

山崎:4人全員いるのが一番いいと思うんですけど、「こういう日もあるよね!」て感じで楽しんで貰えたらいいかなって。

風間:レアな感じで!

山崎:ポジティブに考えます。

ーー楽曲はどんどんエッジのある方向に向かいながらも同時にポップにもなっているところにオサカナさんの凄みを感じます。ポップだけど難解でもあって、そこに深みもあるというか。

風間:聴きやすくなってますよね。それにサカナの曲って飽きないですよね。そこがいいなって。

ーーそうですね。1曲1曲にオリジナリティーがあります。1人のミュージシャンが曲を全て手掛けるグループの場合、どうしても曲の聴き分けが難しくなりがちなんですが、それがなくて。ちなみに収録されている3曲の中で好きなフレーズを挙げると何になりますか?

寺口:私は「発見」の最初のサビ前までですね。聴いてて安心します。風花と玲が歌ってて。すごい好きです。

神﨑:私は「発見」のサビが好き。それまで私と玲ちゃんしか歌ってないんだけど、サビで4人全員のボーカルが入って、ここから急にすごい力強くなるのがいい。歌詞もノスタルジーな感じがして好きですね。

風間:私は「New Stranger」のサビの〈デタラメー〉の音程が好きです。すっと入ってくる感じで、メロディーがキャッチーで聴きやすいなって。

山崎:私は「New Stranger」の〈ゲージ〉とか〈獣〉とか、そういうひとつひとつの言葉のチョイスがいいなって思ってて。私が知ってたり普段使ってる言葉が歌詞に使われてるところが好きです。

ーー〈真の戦いは己の中と見つけたり〉という歌詞も違和感があってフックになってますよね。自分自身でも歌詞を書いてみたいとかは思わないですか?

風間:以前なんかの曲の時に「歌詞の一部を変えないといけない」ってことになって。私から歌詞を提案したんですよ。「これどうですか?」って。結果的には採用されなかったんですけど、「あ、いいね」って言って貰えたんです。だから歌詞も考えてみたいなって思ってます。

山崎:私もやってみたいです。作詞とか、アートディレクションとか、私もそういう会議に参加したいなって。やらされてるだけじゃなくて、作る側もやってみたいなって最近思います。

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