MISIAは光り輝くもう一人の“LADY FUNKY”だ 20周年イヤー誕生日ライヴを振り返る

20年変わらない出会いのメッセージ

 そしてもうひとつの新曲「SERENDIPITY」は、ジャズ×ソウルのミディアムナンバーといった雰囲気のサウンドが、実に秀逸な楽曲だ。この曲について「セレンディピティという言葉を知っていますか? 偶然訪れる幸せな出会いのことです。ミュージシャン、プロデューサー、そしてファンのみなさん。私は出会いに恵まれてきました。私はこの言葉を知って、いつか歌にしてお届けしたいと思っていました」と話したMISIA。この楽曲の間奏では、さまざまな楽器が入れ替わりながらソロを奏でていて、その様子はまるでMISIAが20年の間に経験した、さまざまな出会いを表しているようにも感じた。

 MISIAはデビュー曲「つつみ込むように…」でも、出会いについて歌っていた。一つひとつの出会いが奇蹟のようであり、だから出会うことを怖れないで、と。それから20年、多くの出会いを経験し、成長してきたMISIA。ふとしたときに訪れる小さな幸せは、偶然が生み出す奇跡でもある。「つつみ込むように…」から20年変わらない出会いのメッセージが、「SERENDIPITY」には込められていると感じた。

 そして、8月22日にリリースするニューシングルの表題曲「アイノカタチfeat.HIDE(GReeeeN)」もいち早く披露された。綾瀬はるか主演ドラマ『義母と娘のブルース』(TBS系)の主題歌として話題の楽曲で、MISIAが綾瀬の出演するドラマの楽曲を手がけるのは、ドラマ『JIN-仁-』(TBS系)の主題歌「逢いたくていま」以来、9年ぶりのこと。この楽曲の制作に際して「脚本を読んで、とても心が揺さぶられました。こんな素晴らしいドラマが今の時代に必要だと思います」(引用:MISIA、GReeeeNとのコラボ楽曲で綾瀬はるか主演ドラマ『義母と娘のブルース』主題歌担当)と、ドラマに共感して制作したことを明かしている。ライヴでは「私自身もアフリカで、血のつながりがなくても愛し合っている家族とたくさん出会いました。愛の形はたくさんあります。ぶつかることも、溶け合うことも、すべて愛の形です。すべての愛の形を応援できるように、心を込めて歌います」と語ったMISIA。温かく包み込むような、母性を感じさせる歌声。楽曲に一貫して流れる、やさしさ、温もり、いとおしさ。歌い出しの〈あのね〉という言葉からは、まるで本当の家族に伝えるような身近さを感じ、ギュッと胸が締め付けられるような思いになった。

 迎えた20周年イヤー、年に一度の七夕、そしてMISIAの誕生日。いくつものうれしい偶然が、ひとつに重なった奇蹟の夜。会場には様々な年代のカップルや親子連れ、友だち同士と、大切な相手を連れだった約5000人が集まった。この特別な夜を、MISIAの歌声と共に過ごし、共に祝い合う。MISIAにとってファンにとって、こんな喜びはほかにあっただろうか。最後に「みんなの分の願いも込めて」と、ミニMISIAが運んできたバースデーケーキをペロリと一口したMISIA。これまでMISIAの歌が、どれほど多くの人を癒やし、願いを叶えてきたか。ファンにとって、「MISIA」は願いの言葉だ。彼女の名前を呼ぶファンの声には、20年分の愛と感謝が溢れていた。

(取材・文=榑林史章/写真=AKI)

■セットリスト
『20th Anniversary MISIA 星空のライヴX Life is going on and on』
7月7日(土)東京・東京国際フォーラム ホールA

M1.星の降る丘
M2.来るぞスリリング
M3.太陽がいるから
M4.君だけがいない場所
M5.恋人失格(新曲)
M6.LADY FUNKY(新曲)
M7.LOVED(新曲)
M8.SERENDIPITY(新曲)
M9.眠れぬ夜は君のせい
M10.Everything
M11.果てなく続くストーリー
M12.Never gonna cry!
M13.One!
M14.MAWARE MAWARE
M15.あなたにスマイル:)
EN1.SUPER RAINBOW~HOPE & DREAMS
EM2.アイノカタチ feat.HIDE(GReeeeN)(新曲)

■関連リンク
MISIA オフィシャルサイト

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