MISIAは光り輝くもう一人の“LADY FUNKY”だ 20周年イヤー誕生日ライヴを振り返る
来年2月まで半年以上に渡って開催されるMISIAの全国ツアー『20th Anniversary MISIA星空のライヴ X Life is going on and on』が、6月17日の台湾・台北国際会議センターを皮切りにスタートした。『MISIA星空のライヴ』は、2001年から開催している、MISIAのライフワークといったライヴシリーズ。生演奏にこだわったサウンドとMISIAの美しく力強い歌声で、これまで多くの観客を魅了してきた。7月7日に東京・国際フォーラム ホールAで行われた公演は、MISIAのバースデーでもあり、これまでと少し違う特別なものになった。
ステージで輝いたもう一人の「LADY FUNKY」
ライヴの冒頭で「2度目の成人式を迎えました」と、ユーモアたっぷりに20周年を表したMISIA。セットリストは、1998年の1stアルバム『Mother Father Brother Sister』に収録の「星の降る丘」をはじめ、2004年の6thアルバム『SINGER FOR SINGER』に収録の「君だけがいない世界」や、MISIAの代名詞でもあるヒット曲「Everything」など。20周年にふさわしい、新旧織り交ぜた幅広い選曲で楽しませてくれた。また、現在アルバムを制作中とのことで、そのアルバムに収録予定の新曲がいくつか披露されたことも、ファンにとってうれしいプレゼントになった。
この日披露された新曲の1つ「LADY FUNKY」は、ノリのいいファンクビートが効いたソウルナンバー。少しセクシーさも漂わせる、大人のオンナといった雰囲気だ。〈あこがれのレディー〉というキャッチーなサビメロを、シャウトするように歌いワイルドさも覗かせる。観客は、MISIAの歌声に合わせてクラップしながら、ゆっくりと体を揺らしていた。実は、この曲にはモデルとなった女性がいるとのことで、MISIAは彼女について話す。
「丸ノ内にある(アンティカ・オステリア・)デル・ポンテというイタリアンレストランのオーナーが女性で、すごくファンキーな方なんです。女性にも男性にも意見をしっかり言えて、ウィットに富んでいて。仕事も遊びも、恋も楽しんでいるような女性。その彼女をモチーフにしました」と、MISIA。女性にとっての憧れの女性が“LADY FUNKY”であるならば、この日集まった女性ファンは、ステージの上でライトを浴びて光り輝くもう一人の“LADY FUNKY”の姿を見つけたことだろう。
また、米倉利紀が楽曲提供した「恋人失格」では、NHKラジオ番組『MISIA 星空のラジオ』に米倉がゲスト出演し、曲を書いてほしいとお願いしたところ、1週間くらいで送られてきたというエピソードを披露。その米倉から新たに楽曲提供してもらったという新曲「LOVED」は、「すてきなバラードなので、ぜひお届けしたい」と一言コメントしていた。ピアノとストリングスを中心にしたサウンドのしっとりとしたナンバーで、美しいサビメロは切なくもどこか清々しさがあると感じる。自然にすっと体に入り込んで、胸の奥からじわっと温かくしてくれるような楽曲だ。歌詞からは、経験、思い出、大切なもの、それらが辛いものであっても、そのすべてによって今の自分がある。ひとつの別れを受け入れ、乗り越え、しっかり前を向く力強い女性像が感じられた。