NakamuraEmiが歌で表現する“コミュニケーション”の大切さ EX THEATER ROPPONGI公演レポ

 

 インディーズ時代から現在まで関わった全てのスタッフに感謝の言葉を伝えた後、デビュー時の覚悟とブレない意思を綴った「メジャーデビュー」を披露。迫真のパフォーマンスに会場からステージに大きな拍手が送られる。「教室」を挟み、ゲストとして辻本美博(Sax/Calmera)が登場。「NakamuraEmiさんを好きな人がこんなにいるなんて、めちゃくちゃうれしいです。この全員でファンミーティングしたい!」と勢い良く挨拶すると、会場からも大きな笑いが。そしてスペシャル編成でアップテンポナンバー「モチベーション」がスタート。辻本が加わったことで、さらにリッチになったサウンドに沸く会場。さらに辻本のサックスとカワムラのギターによる熱いソロの掛け合い中には、NakamuraEmiがふたりにスマホのカメラを向けて撮影を始めるなど、ステージ上も会場も大いに盛り上がった。

 時にエッジの効いた言葉で痛烈なメッセージを放つNakamuraEmi。しかし、そこには否定的な感情や勧善懲悪のような強制は不思議と感じられない。人間が持つ喜怒哀楽の感情も欲望も、時代の移り変わりも肯定した上で、「さぁ、あなたならどうする?」と私たちは問いかけられているのではないだろうか。本編最後に披露された代表曲「YAMABIKO」には、〈“助けて誰か 私の背中を押して”って願うもの/己を信じろ〉と強く鼓舞するフレーズがある。これから先も彼女は己の信念を貫いて険しい山道を登り続けるだろう。様々な成功と失敗を繰り返す中で、その時に抱いた感情、目にした風景を歌にして、より多くの人へと伝えながら。

(文=泉夏音/写真=TAKAO IWASAWA)

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