アジアンカルチャー再編の潮流に? TWICE×『センセイ君主』MVなどに見るK-POPのダイナミズム
また、日本発のポップカルチャーがかつて韓国のポップカルチャーに与えた影響が如実に感じられるミュージックビデオに、LOONA/ViViの「Everyday I Love You (Feat. HaSeul)」がある。
甘酸っぱいダンスポップにあわせ、K-POPらしいビビッドな色彩で描かれるのは、90年代の韓国をオマージュしたラブストーリー。カセットプレイヤー、大きなデジカメといったガジェットに加えて、90年代に人気を博した韓国のマンファ(漫画)『フルハウス』などが登場する。いかにも少女漫画的な画風のマンファや、KONAMIの音ゲーに影響されたアーケードゲームには、日本人にも訴えるものがある。現在隆盛を極めるK-POPの視点から、かつての韓国のポップカルチャーがノスタルジックにデフォルメされているのが印象的だ。
産業として、文化として勢いづいているK-POPの何よりの特徴は、あらゆるポップカルチャーのエッセンスを取り入れる貪欲さにある。日本のポップカルチャーも、またそれに影響を受けたかつての韓国のポップカルチャーも例外ではなく、現在の視点からダイナミックにシャッフルされ、新たな文脈に置き直される。このK-POPのダイナミズムは、アジアンカルチャーに対する外側からの視線もまた再編することになるだろう。
■imdkm
ブロガー。1989年生まれ。山形の片隅で音楽について調べたり考えたりするのを趣味とする。
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