『ADVENTURE』インタビュー

SABANNAMAN 吉田涼&上田雄が語る、新たな冒険と変化「自分たちの曲をもっと共有したい」

「“かっこいい”の種類が増えてきている」(上田雄) 

――今回のレコーディング中、メンバーとのやりとりで印象に残っていることは?

上田:俺はギターソロは基本的に何も考えずに臨むことが多いんですけど、今回、1時間ぐらい弾いてもしっくりこなくて、何も分からないような感じになってしまって。そのときにたまたま聴いてた吉田が「これで全然いいと思う」と言ってくれて、あとから聴いたら確かにと思ったんです。そのジャッジが信頼できる部分はありました。

吉田:SABANNAMANってほぼ全曲にギターソロがあるバンドで、それを毎回ぶっつけ本番で弾くんですよ。いつもいいテイクなんで、見ていてすげえなって思いますね。今回の3曲目「Epic Code」のギターソロとか、最高ですよ。あれは最っ高。笑っちゃいました。

――あの曲は、曲のフックになっているのがほぼ上田さんのギターという……。

上田:“メタルバンドがへちょへちょになったら、結果、最高のパンクロックになった”みたいな曲ですよね(笑)。

吉田:ドラムの感じはすごくメタルっぽい。それをファンクのノリでやってみた曲ですね。

上田:ベースの糸数(航平)は、あいつにしか出せない音過ぎて、困ることもある反面、逆に「最高だな」と思うこともあって、その扱いを俺たちが勉強するという感じですね(笑)。

吉田:そういえば今回、レコーディング中もずっと一緒に生活していたんですよ。レコーディングスタジオの上がアパートみたいになっていて、そこで10日間ぐらい泊まり込んで。最高の環境でした。自分たちで飯も作ってましたよ。カレーとかを作ったんですけど、みんなそれに途中で飽きちゃって。あとは毎日……大富豪をしてました(笑)。

――メンバーで長く制作をともにできる環境だと、思いついたアイデアをすぐに試せる部分があったかもしれませんね。

吉田:そうですね。歌詞もその場で書いたりしてました。あと、歌はめちゃくちゃ変わりました。レコーディングを重ねていく中でかたまっていったんで。

上田:それがバンド音楽のいいところだと思うんですよね。人間味があるというか、悪く言えば適当というか。レッチリやレイジの話を読んでいても、みんなそんな感じじゃないですか(笑)?

吉田:レイジのザック(・デ・ラ・ロッチャ)とか、スタジオの壁に穴を開けて「こっちの方が音がいいぜ」って言ったりとか。やばくないですか(笑)。レッチリは城を借りていたし。とにかく、今回は時間をかけて、ゆっくり作業を進めることができました。

上田:みんなが納得のいくテイクをひとつずつ録っていったし、音作りにも時間をかけました。特にギターは色んな音を使っていて、結構壮大なものになってるかな、と思いますね。

吉田:ドラムの(與那城)直記も、パーカッションとか、色んな音を入れていたよね。今回のアルバムは直記のパーカッションがほぼ全曲で活躍していて。

上田:直記は吹奏楽部出身で、ロック以外の音楽の素養を持っているんですよ。だから、パーカッションで音をどんな風に広げたらいいかもよく分かっているんです。

――SABANNAMANはもともとごった煮のミクスチャーが得意なバンドだったと思いますが、それにしても今回の『ADVENTURE』では、さらに音楽性が広がっていますね。

上田:7~8年一緒にやってきて、やっとお互いが好きな音楽を共有できるようになってきた部分があると思うんですよ。

吉田:それに、より色んな音楽をリスペクトできるようになってきたとも思います。いつも対バンしているバンドや先輩の音楽もすごくかっこいいなと思うし、ヒットしている日本のバンドも、かっこいいなと思います。

上田:言葉にするなら、“かっこいい”の種類が増えてきているというか。

――みなさんの中に色んな音楽のよさを理解するスイッチがより増えていった、と。

吉田:だから、「みんな最高!!」っていう(笑)。やっていくうちに、そうなってきた感覚がありますね。

――今回の『ADVENTURE』(=冒険)というタイトルの由来は?

吉田:やっぱり、今回新しいことをたくさんやったというのは大きいと思います。

上田:それに、俺たちは「ずっとワクワクしてたい」という気持ちや、「ずっと遊んでたい」という気持ちが強いので。

吉田:そういう意味でも、『ADVENTURE』というのは、すごく楽しそうなタイトルだと思ったんですよ。『ADVENTURE』っていう言葉のガキっぽさもいいと思ったし。

上田:「アドベンチャー」って、『デジモンアドベンチャー』ぐらいでしか見たことがない(笑)。でも、逆に新鮮でいい言葉だと思いました。ほかの案も色々出したんですけど、最終的には「やっぱりこれだな」って。

吉田:もう、ほかの候補を覚えてないですからね(笑)。

――今回のアルバムは、みなさんにとってどんな作品になったと思っていますか?

上田:前の作品ももちろん気に入っていますけど、今回のアルバムは単純に楽器が上手くなっているし、改めて聴いたときに、色んなことができるようになっているのを感じました。

吉田:メロディもいい曲が増えていると思いますし。そうだ、それはアルバムを作るときに最初から決めていたことですね。“歌”としてもいいものを作ろう、と。

上田:でも、結果聴き返してみたら、「全部SABANNAMANっぽい」ものになったというか。自分たちの音楽をわかりやすくするために、妥協したり質を落としたりせずアルバムを作れたことが、何よりもよかったと思います。

吉田:やっとそういうアルバムができた感じがします。今回の『ADVENTURE』は、SABANNAMANが今できること、やりたいことを全部詰め込んだアルバムですね。だから、逆に言うと、次は全然違うかもしれない(笑)。

上田:(笑)。もちろん、自分たちが楽しむことがまずは絶対でーー。

吉田:今の俺らは、その上で“たくさんの人に聴いてもらいたい”と思っているんですよ。

(取材・文=杉山仁/写真=山田将史)

SABANNAMAN『ADVENTURE』

■リリース情報
『ADVENTURE』
発売中
価格:2,500円+税

<収録曲>
1.Adventure  
2.Peace Of Dancer 
3.Epic Code 
4.The Way 
5.Wandering  
6.No.6
7.THUNDER  
8.Show Me Your Black  
9.Good Time Love
10.Life is  
11.Light In Dark  
12.Get Check Now

■ライブ情報
7月16日(月・祝)
『SABANNAMAN『ADVENTURE』 発売記念 アコースティックミニライブ&サイン会』
開催日程:7月16日(月・祝)15:00~
場所:タワーレコード新宿店 7Fイベントスペース
参加方法:タワーレコード新宿店、渋谷店、池袋店、秋葉原店、横浜ビブレ店、にて7月4日発売(7月3日入荷)『ADVENTURE』を購入すると(予約者優先)、先着順でサイン会参加券をプレゼント。
サイン会参加券を持参すると、ミニライブ終了後にサイン会に参加可能。
※サインはCDに行うため、当日要持参。
詳細はこちら

■ツアー情報
『SABANNAMAN ADVENTURE TOUR』
7月24日(火)福岡 Queblick
7月26日(木)宮崎 SR BOX
7月27日(金)鹿児島 SR HALL
7月31日(火)松山 double-u-studio
8月1日(水)高松 TONICE
8月2日(木)京都 GATTACA
8月4日(土)静岡 UMBER
8月5日(日)松本 ALEX
8月19日(日)柏 ALIVE   
8月21日(火)いわきSONIC
8月22日(水)石巻BLUE RESISTANCE
8月24日(金)八戸 FORME
8月28日(火)仙台enn 3rd
8月29日(水)宇都宮HELLO DOLLY
9月5日(水)千葉LOOK
9月8日(土)上越EARTH
9月9日(日)富山SOUL POWER
9月30日(日)甲府KAZOO HALL
10月5日(金)横浜FAD
10月6日(土)八王子RIPS
11月13日(火)神戸太陽と虎
11月15日(木)心斎橋BRONZE
11月16日(金)名古屋HUCK FINN
11月22日(木)新代田FEVER

■プロフィール
2012年、糸数航平(Ba)、吉田涼(Vo)、與那城直記(Dr)、上田雄(Gt)の4人で結成。都内、横浜を中心にLIVE活動を開始する。
2015年6月、IKKI NOT DEAD から1st ALBUM 『MAGIC MUTANT』をリリース し、デビュー。
FUJI ROCK FESTIVAL 、京都大作戦、ミリオンロック、SATANIC CARNIVAL等大型 Fes. に参加し、ロック、ジャズ、レゲエ、ファンクなどのバンドサウンドに加え、ハードコア、ヒップホップ、メロディックパンクを得意とするボーカルが交わった、サバンナマンのサウンドが評価を高め、次世代ロックバンドとして注目を浴びる。
2018年7月、待望の2nd FullAlbumをリリース。

■関連リンク
SABANNAMAN オフィシャルサイト
SABANNAMAN レーベルサイト
SABANNAMAN オフィシャルTwitter
『SABANNAMAN ADVENTURE TOUR』特設サイト

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