SABANNAMAN 吉田涼&上田雄が語る、新たな冒険と変化「自分たちの曲をもっと共有したい」

SABANNAMAN、新たな冒険と変化

 大学在学中に制作した2015年の1stアルバム『MAGIC MUTANT』で見せた90年代ミクスチャーの要素を全開にしたサウンドとライブが話題を呼び、その後はFUJI ROCK FESTIVALや京都大作戦など様々な大型フェスに出演した4人組バンド、SABANNAMAN。彼らが約3年ぶりとなる2ndフルアルバム『ADVENTURE』を完成させた。

 Red Hot Chili Peppers(以下、レッチリ)やRage Against The Machine(以下、レイジ)、System Of A Downらを彷彿とさせる、彼ら特有の“ごった煮”のミクスチャーサウンドはそのままに、この2作目ではレゲエからダブ、またハードコアからテクノまで、より幅広いサウンドを導入。そのうえでフロントマン、吉田涼の“歌”をメインに据えた楽曲を増やすことで、彼らが新たな場所へと乗り出していく冒険を詰め込むかのような、新鮮な雰囲気がアルバムを覆っている。この変化はどんな風に起きたものだったのか? 吉田涼(Vo)と上田雄(Gt)に聞いた。(杉山仁)

「最初に自然に出てきたのが「Wandering」」(上田雄)

――2015年の1stフルアルバム『MAGIC MUTANT』を作っているときは、みなさんはまだ学生だったと思うのですが、あのアルバムはどんな風に制作したものだったんですか?

吉田涼(以下、吉田):あのときは「CD出してくれるんだ? ラッキー!!」という感じで、何も分からずに作ってました(笑)。でも、アルバムを作るのは初めての経験だったし、すごく楽しく過ごしたのを覚えています。

上田雄(以下、上田):あのときはまだ、自分が出した音がCDになることしか考えてなかったですね。

吉田:そうそう。本当に何も分からずにやっていたんですよ(笑)。

――あの時点ではアルバムの構成を考えたりするような感じではなかったのですか?

吉田:何も分かってない状態でした。

吉田涼

上田:でも、今聴くと、あのときのSABANNAMANがやりたかったことは、全部入っているアルバムだったとも思いますね。僕ら自身、すごく気に入ってる作品だし。

吉田:そうだね。「若くて、勢いがあって、最高だね!!」って。

――それからFUJI ROCKや京都大作戦といった大型フェスにも多数出演していくことになりますが、フェスの大会場でライブをしたことで、気づいたことはありましたか?

吉田:それはめっちゃあったと思います。でかいところでライブをする経験って、色んなことを変えると思うんですよ。それが何かと言われると、うまく言えないんですけど。

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――たとえば、小さなライブハウスと大きな会場では、一体感の出し方が少し変わってくる部分があるかもしれません。

吉田:ああ、それはすごく感じてました。

上田:でかい会場だと、後ろの方は音量が小さいからごまかせないんですよ。バイブスだけでは何ともならない瞬間があるというか。

吉田:そういうことは、僕らにとってすごく勉強になったと思いますね。それもあって、今回のアルバムでも曲や演奏が変わってきていると思うんで。

上田:今までは「楽しい」「バンドがやれて最高」ということしか考えていなかったんですけど、今回の『ADVENTURE』を作る頃には、よりいいものにしたい、会場で演奏したときに一体感が出るものを作りたい、と思うようになりました。

吉田:やっぱり、色んな人に聴いてもらえた方がいいよな、って。

上田:そうそう、自分たちの曲をもっとみんなで共有したい、と思うようになったんですよ。ライブやフェスの会場で、自分たちの音楽を聴いてくれる人たちの存在を実感したのは本当に大きかったと思います。

吉田:それがなかったら、こんな気持ちにはなってなかったよね。

上田:そうだね。こういうことは、メンバーがそれぞれに何となく感じていたことだとは思うんですけど、それをちゃんと話し合うようになったのが最近の話でした。そういうことを共有した方が、バンドがよくなっていくんじゃないかな、とも思うんで。

上田雄

――この3年間の間に、普段聴いている音楽にも広がりはありましたか?

吉田:たくさんあり過ぎて説明するのは大変ですけど……。

上田:たとえば、レゲエやダブの要素はそうですね。

――2016年のミニアルバム『Psychedelic Sox Funk』の頃から、みなさんの曲に実際に反映されはじめている要素ですね。

上田:ほかにはエレクトロやハードコアテクノもそうで、今は“最高だな”と思えるものがたくさん増えて、自分たちの音楽の中にも“何でも入れられる”と感じることが多くなっている気がします。レゲエやダブを深く追求した音楽だけではなくて、ロックにそういう要素を取り入れた曲も聴くし、ストリーミングサービスで検索した名前も知らないハードコアテクノを聴いたりもするしーー。あと、ハードコアテクノで言うなら、Atari Teenage Riotもみんなで聴いていました。

吉田:Atari Teenage Riotはバンドメンバーの中ですごく流行りました。「これ、かっこよすぎてヤバいぞ!」って。あと、俺は毎週キャンプや釣りに行ってましたね。

――キャンプはさすがにアルバムには影響を与えていないですよね……(笑)?

吉田:(笑)。今回のアルバムも、「そういうときに聴けたらいいよね」という気持ちが少しはあったかもしれないです。あくまで「あったかもしれない」という感じですけど(笑)。今回のアルバムの中で一番最初にできたのは、5カ月くらいかけた「Wandering」でした。そこからほかの曲も作って、バランスを見ながらアルバムに入れる曲を決めていきました。

SABANNAMAN「Wandering」

――「Wandering」はSABANNAMANには珍しいミディアムテンポの曲で、歌詞も日本語詞になっていますね。この曲が最初にできたというのは、今回のアルバムを象徴しているのかもしれません。

吉田:「Wandering」はちょっとワールドミュージックっぽい、オーガニックな雰囲気というか。

上田:「そろそろ曲を作んなきゃね」とメンバーと話をしていく中で、最初に自然に出てきたのが「Wandering」だったんですよ。

吉田:まずはそのリフが「めちゃいいじゃん!」という話になって、曲自体もいいから、この曲は日本語で歌ってみようという話になりました。

上田:それが、さっき言っていた“みんなが共有できるよさ”にも繋がるのかな、と思います。「曲をみんなに届けたい」という気持ちが、曲にも以前より出てきたというか。

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