アンコールでは、パスタ好き（だがシーフードは苦手）な大橋のリクエストで制作された電波なパスタソング「イカはイカすぜ☆クラーケン子ちゃん」で、曲中の早口セリフも見事に成功させてお祭り騒ぎで盛り上げつつ、続く「明日の風よ」では冒頭のフレーズを完全アカペラで朗々と歌い上げて歌唱力の高さをあらためてアピール。その後、彼女は「みなさんがここまで連れてきてくれたんだと思っています」と感謝の言葉を述べて、ラストはデビュー曲でもある「YES!!」で元気いっぱいに締め括った。

　観る者に元気を与えてくれる明るく華やかな魅力はそのままに、ドラムやダンスなど自分のやりたいことを盛り込んで、なおかつそれらをショーとしてしっかりと見せられるレベルで披露するーー言葉にすると陳腐に聞こえるかもしれないが、これを実現するためには相当の努力が必要なはず。だが、彼女は人気声優として多忙を極めるなか、それをやってのけたのだ（ちなみに彼女はもともと「ダンスが超苦手」だという）。エンターテイナーとしてより高みをめざす彼女が今後どのように“進化”するのか、楽しみでならない。

■北野　創
音楽ライター。『bounce』編集部を経て、現在はフリーで活動しています。『bounce』『リスアニ！』『音楽ナタリー』などに寄稿。