『SHOKO NAKAGAWA BIRTHDAY LIVE ~19850505~』レポート(夜公演)
中川翔子、史上初の1日で全66曲熱唱 “歌手としての歩み”を体現したバースデー公演
アンコールでは、「去年は泣いてしまって最後まで歌えなかったけど……。みなさんは、自分を支えてくれる大切な人の存在を感じながら聴いてほしい」と、昨年急逝した愛猫・マミタスに宛てた「愛してる」を披露。涙ぐみながらも最後まで歌い切り、観客は温かい拍手を贈った。そして最後は「大切なみんなのために作詞をした曲があります」と、「愛いっぱい、せいいっぱい」を歌唱。会場に手拍子が広がる様子を見た中川は、それに応えるように「みんながいなきゃダメなんだ。いっぱい幸せになれよ~! 次に会うまで、一人も死ぬんじゃないぞ!」と、彼女流の愛に溢れたメッセージを贈った。
きっとさまざまな壁にぶつかり、もがき、乗り越え、受け入れ、許してきたであろう彼女の33年。33曲の1曲ずつが、彼女が生きてきた証であり記憶であり、その1曲1曲をときにパワフルに、ときに愛おしく抱きしめるように歌った姿が印象的だ。父親譲りの歌唱力の高さは、CDデビューのころから評価が高かったが、艶と表現力は年齢を重ねてさらに増していたように思う。最高で最強のレベル33をファンと共に祝いあった夜であった。
(文=榑林 史章/写真=外山繁)